2003年3月2日、神奈川県大和市にあるマンションの一室にて、この部屋に住む71歳男性が遺体で発見された。遺体の側には被害者への個人的な恨みを綴ったメモが置かれており、怨恨による殺人とみられるが、2021年現在も犯人は特定できておらず未解決事件となっている。

【事件発覚】
 2003年3月2日、神奈川県大和市中央5丁目にの恒陽大和マンションにて、住人の木幡重男さん(当時71歳)が遺体で発見された。木幡さんは約1週間前から連絡が取れなくなっており、心配した弟夫婦が合鍵を使って部屋に入ったところで事件は発覚した。

 司法解剖の結果、死後約1週間が経過しているとされた。2月24日朝にはゴミ捨てに向かう様子がマンション内防犯カメラに記録されており、新聞受けには2月25日以降の朝刊が溜まっていたことから、2月24日夜から25日未明にかけて殺害されたとみられている。

 遺体はフローリングの居間にパジャマ姿でうつぶせに倒れ、布団で全身を多い隠すようにされていた。頭部には鈍器のようなもので数回殴られた傷跡があり、これが致命傷になったとされた。

【犯人像】
 部屋に物色された形跡は無く、財布もそのまま遺されていた。銀行口座から現金が引き落とされた形跡もなかった。一方で、遺体の側には封筒が落ちており、そこには被害者への個人的な恨みが殴り書きされていた。

 以上から、本件は怨恨に基づく殺人であったと見做されている。しかしそこから先が進まない。被害者は近所付き合いもほとんどなく、交友範囲はあまり広くないと考えられるが、そこからトラブルは伺えなかった。親族らも洗われたが、件の殴り書きと筆跡が一致しないとして対象から外されている。

【不審な男?】
 被害者が住むマンションに計4つの防犯カメラが設置されており、事件前後にカメラに映った236人のうち、唯一人だけ身元不明の男性がいることが分かっている。この身元不明男性は、2月17日、23日、24日、25日未明、計5度カメラに映っていたという。映像はこの男がマンション裏口から中へ入っていく様子であった。果たして、この男性が事件に関係しているかは不明だが、映った日時は被害者が殺害されたとみられる日時と近い。

 本事件は非常に手がかりが少なく、「殴り書きされた恨みメモ」と、「カメラに映った不審男性」以外の情報はほとんど上がっていない。事件発生から15年以上が経過し、解決までの道のりは遠のく一方である。

【リンク】
 神奈川県警による情報提供呼びかけページは以下。
 https://www.police.pref.kanagawa.jp/mes/mesc1025.htm

【出典】
 読売新聞2003年3月3日「一人暮らしのマンションで71歳男性殺される 神奈川・大和」
 朝日新聞2003年3月3日「大和のマンションで部屋に遺体 殺人で捜査 /神戸」
 産経新聞2003年3月3日「71歳男性遺体、頭部などに傷 殺人で捜査 神奈川・大和市」
 読売新聞2003年3月4日「大和の71歳殺害 遺体近くに被害者恨むメモ 数回殴られた傷跡も=神奈川」
 読売新聞2003年3月9日「大和の71歳殺害 「えん根」一層強まる=神奈川」
 読売新聞2003年10月2日「大和の71歳殺害 ビデオ画像の身元不明男性を公開=神奈川」
 読売新聞2004年3月4日「大和の71歳殺害から1年 有力手がかりなし=神奈川」
 朝日新聞2004年3月4日「身元不明の男性、写真新たに公開 大和男性殺害から1年/神奈川」