2007年12月10日、東京都渋谷区代々木一丁目にある書店の事務所内で強盗殺人事件が発生。犯人とみられる不審な男が現場で目撃されたが、2021年現在も行方を掴めておらず、未解決事件となっている。
【書店強盗】
2007年12月10日(月曜日)午前9時頃、東京都渋谷区代々木一丁目のビル3階「金港堂書店」事務所内で、店長の男性(当時51歳)が血を流して倒れているのを、同書店社長が発見した。社長はビル4階の自宅におり、階下から「ドン」という大きな物音を聞いて慌てて駆けつけたという。店長は鈍器のようなもので頭を殴られた様子。直ちに病院へ運ばれたが、二度と意識を取り戻すことはなく、13日後に死亡した。
襲われた店長は、書店店舗から道路を挟んで向かいのビル3階にある事務所へ売上金の入った手提げ金庫を運び込んでいたところで、約9万8000円の入ったその手提げ金庫は奪われて失くなっていた。事務所内に争った形跡はなく、犯人は事務所内で待ち伏せしており、店長が事務所に入った直後に殴りつけたとみられる。
警察は強盗殺人事件として捜査を開始。現場に駆けつけた社長の娘は、事務所に通じる階段にいた、薄緑色の目出し帽のようなものを被り灰色のジャンパーを着た不審な男を目撃したと証言する。男はがっちりした体格で、身長は170センチくらいだったとのこと。警視庁はこの男が事件に関係しているとみて行方を追っているが、2021年現在も身元を特定できていない。
なお、事件の影響もあったのか、金港堂書店は2010年6月末に閉店した。
【狙われていた書店】
同書店事務所は、事件のあった前月、2007年11月にも空き巣被害にあっていた。その時は窓ガラスが割られ、据え付けだった金庫がベランダまで移動させられていた。ダイヤルも回されていたが、解錠されることはなく、中身は無事だったという。
しかし、12月の強盗殺人事件では、据え付け金庫は動かされたりした形跡が無く、店長が運ぶ手提げ金庫だけが狙われた格好だ。
事務所へ通じるドアは内からも外からも開けるためには暗証番号の入力が必要で、開け放しておくと警報音が鳴る仕組みとのこと。万全なセキュリティに思えるが、そこに油断があったのではないか。実際、犯人は事務所内で店長を待ち伏せしていたとみられ、つまりドアのセキュリティは何らかの方法で突破されていたのである。
同書店では毎晩閉店する度に店の外を通って手提げ金庫を事務所へ運んでいた。それはまるで手提げ金庫を狙いに来てくださいと宣伝しているようなものだ。11月の空き巣犯が12月の強盗殺人犯と同一かは定かでないが、11月の被害があった時点でセキュリティを見直しておけば店長が命を落とすことはなかったかもしれない。
【遺族の活動】
亡くなった店長は、幼い頃から本を愛し、出版社勤務を経て、1982年から金港堂書店で勤務する大ベテランだった。
最愛の息子を亡くした父は、心労からか、息子が亡くなったわずか2日後に心筋梗塞で急死する。夫と息子を一気に失った母は、不安に苛まれ、引きこもりの生活が長く続いた。しかし、「事件が未解決のままで死ねない」という思いで遂に立ち上がり、2016年12月には警察による情報提供呼びかけのビラ配りに初めて参加した。
遺族が諦めない限り事件は終わらない。
【リンク】
警視庁による情報提供呼びかけページは以下。
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/jiken_jiko/ichiran/ichiran_11-20/harajuku.html
【出典】
朝日新聞2007年12月11日「強盗、書店員殴られ重体 閉店直後に事務所で 東京・代々木」
読売新聞2007年12月11日「強盗に襲われ社員重体 書店事務所、売上金10万円不明/東京・代々木」
産経ニュース2007年12月11日「書店に強盗、従業員重体 東京・代々木」
読売新聞2007年12月12日「代々木の書店事務所強盗、室内で待ち伏せか 荒らされた跡なし/警視庁調べ」
朝日新聞2007年12月12日「金庫目的の侵入、先月中旬も被害 東京・代々木の書店事務所強盗」
東京新聞2007年12月14日「現場の内部知る者犯行か 書店事務所強殺未遂事件」
産経新聞2007年12月14日「渋谷・書店強殺 重体の書店長脳死」
東京新聞2007年12月24日「重体の書店従業員が死亡 渋谷・強殺・未遂事件」
読売新聞2007年12月24日「書店事務所の強盗事件 重体の店長が死亡/東京・渋谷」
産経ニュース2016年12月28日「9年前の渋谷書店強盗殺人「犯人の顔見るまでは…」息子のため 寒空に立つ母」
【書店強盗】
2007年12月10日(月曜日)午前9時頃、東京都渋谷区代々木一丁目のビル3階「金港堂書店」事務所内で、店長の男性(当時51歳)が血を流して倒れているのを、同書店社長が発見した。社長はビル4階の自宅におり、階下から「ドン」という大きな物音を聞いて慌てて駆けつけたという。店長は鈍器のようなもので頭を殴られた様子。直ちに病院へ運ばれたが、二度と意識を取り戻すことはなく、13日後に死亡した。
襲われた店長は、書店店舗から道路を挟んで向かいのビル3階にある事務所へ売上金の入った手提げ金庫を運び込んでいたところで、約9万8000円の入ったその手提げ金庫は奪われて失くなっていた。事務所内に争った形跡はなく、犯人は事務所内で待ち伏せしており、店長が事務所に入った直後に殴りつけたとみられる。
警察は強盗殺人事件として捜査を開始。現場に駆けつけた社長の娘は、事務所に通じる階段にいた、薄緑色の目出し帽のようなものを被り灰色のジャンパーを着た不審な男を目撃したと証言する。男はがっちりした体格で、身長は170センチくらいだったとのこと。警視庁はこの男が事件に関係しているとみて行方を追っているが、2021年現在も身元を特定できていない。
なお、事件の影響もあったのか、金港堂書店は2010年6月末に閉店した。
【狙われていた書店】
同書店事務所は、事件のあった前月、2007年11月にも空き巣被害にあっていた。その時は窓ガラスが割られ、据え付けだった金庫がベランダまで移動させられていた。ダイヤルも回されていたが、解錠されることはなく、中身は無事だったという。
しかし、12月の強盗殺人事件では、据え付け金庫は動かされたりした形跡が無く、店長が運ぶ手提げ金庫だけが狙われた格好だ。
事務所へ通じるドアは内からも外からも開けるためには暗証番号の入力が必要で、開け放しておくと警報音が鳴る仕組みとのこと。万全なセキュリティに思えるが、そこに油断があったのではないか。実際、犯人は事務所内で店長を待ち伏せしていたとみられ、つまりドアのセキュリティは何らかの方法で突破されていたのである。
同書店では毎晩閉店する度に店の外を通って手提げ金庫を事務所へ運んでいた。それはまるで手提げ金庫を狙いに来てくださいと宣伝しているようなものだ。11月の空き巣犯が12月の強盗殺人犯と同一かは定かでないが、11月の被害があった時点でセキュリティを見直しておけば店長が命を落とすことはなかったかもしれない。
【遺族の活動】
亡くなった店長は、幼い頃から本を愛し、出版社勤務を経て、1982年から金港堂書店で勤務する大ベテランだった。
最愛の息子を亡くした父は、心労からか、息子が亡くなったわずか2日後に心筋梗塞で急死する。夫と息子を一気に失った母は、不安に苛まれ、引きこもりの生活が長く続いた。しかし、「事件が未解決のままで死ねない」という思いで遂に立ち上がり、2016年12月には警察による情報提供呼びかけのビラ配りに初めて参加した。
遺族が諦めない限り事件は終わらない。
【リンク】
警視庁による情報提供呼びかけページは以下。
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/jiken_jiko/ichiran/ichiran_11-20/harajuku.html
【出典】
朝日新聞2007年12月11日「強盗、書店員殴られ重体 閉店直後に事務所で 東京・代々木」
読売新聞2007年12月11日「強盗に襲われ社員重体 書店事務所、売上金10万円不明/東京・代々木」
産経ニュース2007年12月11日「書店に強盗、従業員重体 東京・代々木」
読売新聞2007年12月12日「代々木の書店事務所強盗、室内で待ち伏せか 荒らされた跡なし/警視庁調べ」
朝日新聞2007年12月12日「金庫目的の侵入、先月中旬も被害 東京・代々木の書店事務所強盗」
東京新聞2007年12月14日「現場の内部知る者犯行か 書店事務所強殺未遂事件」
産経新聞2007年12月14日「渋谷・書店強殺 重体の書店長脳死」
東京新聞2007年12月24日「重体の書店従業員が死亡 渋谷・強殺・未遂事件」
読売新聞2007年12月24日「書店事務所の強盗事件 重体の店長が死亡/東京・渋谷」
産経ニュース2016年12月28日「9年前の渋谷書店強盗殺人「犯人の顔見るまでは…」息子のため 寒空に立つ母」