1997年2月8日、千葉県千葉市若葉区みつわ台の住宅で、この家に住む都立高校の男性教諭(当時60歳)が何者かに刺殺された。室内が荒らされていたことから強盗目的の犯行の可能性が高いが、目撃情報に乏しく、2021年2月現在も犯人を特定できていない。未解決事件。

【襲われた教諭】
 1997年2月8日(土曜日)20時50分頃、千葉県千葉市若葉区みつわ台の住宅で、この家に住む男性(当時60歳)が胸のあたりを刃物で刺されて死んでいるのを帰宅した妻が発見した。家の一階、二階のたんすなどが荒らされていたことから、警察は強盗殺人事件として捜査を開始する。

 亡くなった男性は都立高校の教諭で、あと2ヶ月で定年退職を迎えるところだった。定年退職後は妻と共に日本中を旅行するのを楽しみにしていたという。また、事件前日に夕食を共にした娘は当時第2子を妊娠していたが、その顔を見せることはできなかった。

【土曜昼の強盗】
 警察の捜査により、犯行は同日の午前11時頃に行われたらしいことがわかってきた。土曜の昼間に強盗に入るとは大胆な犯行である。だが、現場付近ではここ数年空き巣被害が多発しており、防犯ベルを備えるようになった家も増えていた。報道では「昼間でも土足で入って現金を盗む。このあたりの十数件はほとんど入られている」という近隣住人の声を紹介している。実際のところ、被害者宅浴室の窓の格子が外されており、確かに犯人は盗みの手口に精通していることが伺える。

 教諭はジャージ姿で、これは事件当日朝に出かける妻を車で千葉市中央区まで送り届けたときの格好そのままであった。つまり、犯人は教諭宅を留守と思って侵入したところ、帰ってきた教諭と鉢合わせになって襲撃したと考えられる。遺体に防御創がみられなかったことから、教諭は身構える間もなく刺されてしまったと警察は推測している。それでも教諭はサンダルを履いて車庫の脇に倒れており、どうにかして現場からの逃走を試みたものの、屋外に出たところで力尽きてしまったようだ。室内にも血痕はあったが、量は少なかったとされる。

 柳刃包丁は遺体のすぐ脇に落ちており、どうやら教諭は胸に突き立てられた包丁を自力で引き抜いたらしい。この柳刃包丁は教諭宅のものではなく、犯人はあらかじめ凶器を準備していたということになる。被害者は電話の子機を持っていたと伝える報道もある。助けを求めようとしたのだろう。

【捜査】
 本事件は目撃情報が乏しく、2021年現在も捜査は難航している。2007年5月1日に開始した捜査特別報奨金制度において、本事件も他4事件と共に制度開始時に対象となったが、指定期間は原則1年であり、これといった進展は無いまま終わってしまった。それでも千葉県警は現場周辺で目撃された不審な男性をピックアップしており、その人物に関する情報提供を求めている。

 千葉県警が行方を追っている不審な男性の特徴とは
  ・年齢(当時)20~35歳くらい、身長170センチくらい
  ・丸顔、色白、頬がしもぶくれの感じ
  ・黒色帽子、黒色トレーナー上下
 似顔絵については下記千葉県警ホームページを参照されたい。
 また、県警ホームページには記載が無いが、現場では24センチの靴跡を多数確認しているという。

【遺族の活動】
 第一発見者となった妻は、犯人を追い続け、毎年教諭の命日の頃にJR千葉駅前でビラ配りなどの活動を続けてきた。しかし妻も高齢となって長時間街頭に立てなくなり、支援者だけにビラ配りをお願いするのはすまないとして、2016年2月には配布活動を中止してしまった。だが、事件解決を決して諦めたわけではない。教諭が最後に担任をしていたクラスの生徒たちも、毎年春先に偲ぶ会を開いており、遺族を支えているという。

【リンク】
 千葉東警察署による情報提供呼びかけページは以下。なお、同ページでは佐久間奈々さん誘拐事件杵渕さん夫婦失踪事件の情報提供も呼びかけている。

 https://www.police.pref.chiba.jp/police_department/chiba_e/info.html

【出典】
 朝日新聞1997年2月10日「高校教諭、定年退職を目前に殺される 自宅室内は物色 千葉・若葉区」
 朝日新聞1997年2月11日「空き巣居直りの線も 千葉市の高校教諭強盗殺人事件 千葉」
 朝日新聞1998年2月7日「「せめて犯人は自首して」 千葉の高校教諭殺人、あす1年 千葉」
 産経新聞2013年3月9日「千葉市若葉区みつわ台強盗殺人事件 16年過ぎ「体が続く限り」犯人追う妻」
 産経新聞2017年2月8日「千葉・高校教諭殺害から20年 遺族「数字の区切りは家族にとって何の意味もない」無念と望み胸に解決望む」