2002年12月、東京都江東区北砂七丁目にある質店にて、店主の男性と、その妻が、頭から血を流して死んでいるのが発見された。深夜に何者かが侵入し、眠っている2人を撲殺したとみられるが、2020年現在も犯人は特定できておらず未解決。
【東京に大雪が降った日】
被害者は藤井 義正さん(当時78歳)と藤井 えつ子さん(74歳)の夫婦。2人は質店「藤井商店」を営んでおり、その店舗兼住居の寝室にて殺害された。
第一発見者は同じ敷地の別宅に住む長男の妻。2002年12月10日午前10時25分頃、義正さんたちが起きてこないのを不審に思い、合鍵で部屋に入ったところで事件は発覚した。110番通報は午前10時30分頃。なお、同日午前10時頃に信用金庫の職員が訪ねているが、応答は無かったらしい。2人は前日21時頃、自宅近くであった知人の集まりから帰宅し、これが最後の目撃証言となっている。
2人は寝室でパジャマ姿のまま頭から血を流して死んでいた。普段は床の間に飾っている象牙の置物(重量5kg以上、長さ70~80センチ、直径約8センチ)が、血のついたまま居間に置かれてあり、これで殴りつけられた様子。寝込みを襲われたものと考えられる。
【犯人像】
被害者は40年ほど前から同地で質店を営んでおり、真面目で温厚な人柄としてよく知られ、かつては町会長を務めたこともあり、地域からの信頼を得ていた。しかし、質店の他にもアパートや駐車場を経営するなど、それなりの資産をもっていたようで、そのことで犯人に目をつけられたのかもしれない。
実は、事件の数日前、何者かによって裏門が開けられるという被害があった。裏門は普段は使用していないが、防犯のためしっかり施錠していた。それが破られていた。敷地内に侵入された形跡もあったが、盗難などの被害はなかったため、この時は警察には届けなかったという。
居間などのガラス戸は雨戸をしており、風呂場の窓ガラスが侵入口として狙われた。その風呂場の窓ガラスは「突き破り」という手口で割られていた。しかしもう一つ鍵がかかっていたために窓を開けることができず、今度は本来外れない構造になっている窓枠を「戸外し」という手口で外して侵入した。盗みの手口に精通した「プロ」による犯行とみるのが自然だろう。
犯人は手袋をはめていたようで、指紋は検出されていない。この点も手慣れたものを感じさせる。一方で、居間へ続くドアは蹴破られていた。物音を立てて気付かれることを意に介さなかったのか、窃盗犯にしては粗暴で大胆な面も伺える。
室内ではタンスや引き出しやロッカーが案の定片っ端から荒らされていた。一見、強盗目的の犯行に思える。だが、同じ場所から100万円の札束が手つかずで見つかっている。一方で、大型金庫は部屋にあった鍵束を使って開けようとした形跡があった。金庫を開けることは叶わなかったわけだが、現金以外の何かを狙っていたのだろうか。
2人への攻撃は頭部に集中しており、しかも5kg以上もある置物を2人それぞれに十数回振り下ろしたという点から、怨恨による殺害の線も唱えられている。ただし、被害者宅の置物を凶器に使ったということは、犯人は予め凶器を用意していなかった可能性もあり、怨恨に基づく犯行だとすれば、この点はやや不可解に映る。結局、警察も強盗か怨恨かハッキリ断定できておらず、犯人像の絞り込みは進まない。
12月8日から9日にかけて、東京都内では記録的な大雪が降り、電車が運休となったり、学校も休校になったりした。よって、現場周辺に人通りは少なく、犯人につながる有力な目撃証言はほとんど無い。
【リンク】
警視庁による情報提供呼びかけページは以下。本事件は遺族らにより私的懸賞金も掛けられている。金額は300万円。
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/jiken_jiko/ichiran/ichiran_11-20/joto2.html
【出典】
朝日新聞2002年12月10日「質店の夫婦、殺害される 室内に荒らされた跡 江東区」
朝日新聞2002年12月11日「象牙の置物で頭めった打ち 東京・江東区の質店夫婦殺害」
朝日新聞2002年12月11日「数日前、侵入事件も 東京・江東区の質店夫婦殺害事件」
朝日新聞2002年12月12日「居間や帳場に土足跡 東京・江東区の夫婦殺害事件」
朝日新聞2002年12月17日「犯行手口矛盾はらみ、犯人像絞れず 江東区の質店夫婦殺害事件」
TOKYO MX2009年12月10日「江東区質店夫婦殺害から7年 懸賞金で犯人追う遺族」
【東京に大雪が降った日】
被害者は藤井 義正さん(当時78歳)と藤井 えつ子さん(74歳)の夫婦。2人は質店「藤井商店」を営んでおり、その店舗兼住居の寝室にて殺害された。
第一発見者は同じ敷地の別宅に住む長男の妻。2002年12月10日午前10時25分頃、義正さんたちが起きてこないのを不審に思い、合鍵で部屋に入ったところで事件は発覚した。110番通報は午前10時30分頃。なお、同日午前10時頃に信用金庫の職員が訪ねているが、応答は無かったらしい。2人は前日21時頃、自宅近くであった知人の集まりから帰宅し、これが最後の目撃証言となっている。
2人は寝室でパジャマ姿のまま頭から血を流して死んでいた。普段は床の間に飾っている象牙の置物(重量5kg以上、長さ70~80センチ、直径約8センチ)が、血のついたまま居間に置かれてあり、これで殴りつけられた様子。寝込みを襲われたものと考えられる。
【犯人像】
被害者は40年ほど前から同地で質店を営んでおり、真面目で温厚な人柄としてよく知られ、かつては町会長を務めたこともあり、地域からの信頼を得ていた。しかし、質店の他にもアパートや駐車場を経営するなど、それなりの資産をもっていたようで、そのことで犯人に目をつけられたのかもしれない。
実は、事件の数日前、何者かによって裏門が開けられるという被害があった。裏門は普段は使用していないが、防犯のためしっかり施錠していた。それが破られていた。敷地内に侵入された形跡もあったが、盗難などの被害はなかったため、この時は警察には届けなかったという。
居間などのガラス戸は雨戸をしており、風呂場の窓ガラスが侵入口として狙われた。その風呂場の窓ガラスは「突き破り」という手口で割られていた。しかしもう一つ鍵がかかっていたために窓を開けることができず、今度は本来外れない構造になっている窓枠を「戸外し」という手口で外して侵入した。盗みの手口に精通した「プロ」による犯行とみるのが自然だろう。
犯人は手袋をはめていたようで、指紋は検出されていない。この点も手慣れたものを感じさせる。一方で、居間へ続くドアは蹴破られていた。物音を立てて気付かれることを意に介さなかったのか、窃盗犯にしては粗暴で大胆な面も伺える。
室内ではタンスや引き出しやロッカーが案の定片っ端から荒らされていた。一見、強盗目的の犯行に思える。だが、同じ場所から100万円の札束が手つかずで見つかっている。一方で、大型金庫は部屋にあった鍵束を使って開けようとした形跡があった。金庫を開けることは叶わなかったわけだが、現金以外の何かを狙っていたのだろうか。
2人への攻撃は頭部に集中しており、しかも5kg以上もある置物を2人それぞれに十数回振り下ろしたという点から、怨恨による殺害の線も唱えられている。ただし、被害者宅の置物を凶器に使ったということは、犯人は予め凶器を用意していなかった可能性もあり、怨恨に基づく犯行だとすれば、この点はやや不可解に映る。結局、警察も強盗か怨恨かハッキリ断定できておらず、犯人像の絞り込みは進まない。
12月8日から9日にかけて、東京都内では記録的な大雪が降り、電車が運休となったり、学校も休校になったりした。よって、現場周辺に人通りは少なく、犯人につながる有力な目撃証言はほとんど無い。
【リンク】
警視庁による情報提供呼びかけページは以下。本事件は遺族らにより私的懸賞金も掛けられている。金額は300万円。
https://www.keishicho.metro.tokyo.jp/jiken_jiko/ichiran/ichiran_11-20/joto2.html
【出典】
朝日新聞2002年12月10日「質店の夫婦、殺害される 室内に荒らされた跡 江東区」
朝日新聞2002年12月11日「象牙の置物で頭めった打ち 東京・江東区の質店夫婦殺害」
朝日新聞2002年12月11日「数日前、侵入事件も 東京・江東区の質店夫婦殺害事件」
朝日新聞2002年12月12日「居間や帳場に土足跡 東京・江東区の夫婦殺害事件」
朝日新聞2002年12月17日「犯行手口矛盾はらみ、犯人像絞れず 江東区の質店夫婦殺害事件」
TOKYO MX2009年12月10日「江東区質店夫婦殺害から7年 懸賞金で犯人追う遺族」