1993年10月27日(水曜日)、青森県八戸市城下4丁目の住宅にて、この家に住む宮古若花菜さん(当時14歳、中学2年生)が何者かに刺殺された。被害者が帰宅してから遺体で発見されるまでわずか20分ほど。そして異常なほど残忍な殺害方法であった。しかし犯人を特定することはできないまま2008年10月27日に殺人罪の公訴時効を迎えた。未解決事件。
【20分間の凶行】
事件当日17時40分頃、若花菜さんは陸上部の練習を終えて友人2人と共に下校する。普段であれば途中の食料品店に寄り道して18時30分頃に帰宅するのだが、若花菜さんは「今日は18時までに帰宅し、20分頃までは家に居なければならない」と言った。友人は理由を聞いたが、若花菜さんは理由を濁して答えなかったという。結局、この日は寄り道をせずに真っ直ぐ帰宅することになった。
以上のタイムラインに従うと、若花菜さんは帰宅してから約20分のうちに殺害されたということになる。
【遺体】
遺体は極めて凄惨な状態だった。口には粘着テープが貼られ、両手も後ろ手に縛られていた。ふくらはぎ、首などに切り傷があり、特に心臓を貫通する刺し傷が致命傷になった。上半身は学校指定ジャージを着ていたが、下半身は脱がされて座布団がかけられていて、その脱がされた下着類は遺体傍らに置かれていた。ただし、性的暴行の形跡は無かったとされる。
被害者はひざにも傷があったが、これは鋭利な刃物で切られたものではない浅い傷だった。これについて、被害者が犯人から逃げようとして玄関のガラス戸を自ら割り、その時に負ったものだと分析されている。上記のとおり両手を縛られていたため足で蹴破るほかなかったのだろう。これはすなわち、犯人は玄関から遺体の発見された母親の寝室まで被害者を引きずり戻したということでもある。
以下の現場見取図のとおり、母親の寝室までは玄関→廊下→居間の順で通らなければならない。途中の廊下には一箇所血痕が確認されており、犯人は被害者を引きずり戻す途中で刺したとみられている。
【謎の包丁】
本事件の謎の一つは、遺体の隣に置かれた包丁である。これは被害者宅のもので、本来は台所にあるはずのもの。血痕等は全く付着しておらず、被害者を刺した凶器では有り得ない。この包丁を加害者・被害者どちらが、どのタイミングで、何のために持ち出したかは警察も着目している。
報道を参考に現場見取図を作成してみた。
図のとおり、包丁は台所から最も遠い部屋で見つかっている。被害者は帰宅すると自分の部屋にカバンを置き、居間へ行ってコタツのスイッチを入れたと思われるが、そのタイミングで襲われたとすれば台所まで取りに行くのは困難なはず。この時点で両手を縛られたらますます包丁を取りに行こうなどとは考えまい。真っ直ぐ玄関から逃げ出したほうがいい。そして台所には血痕が無かったというから、被害者が持ち出したのだとすれば、負傷する前(かつ両手を縛られる前)と考えた方が自然だろう。
犯人が顔見知りの人物であり、被害者は犯人を玄関で出迎えて居間へ通した後、身の危険を感じたため台所へ寄って包丁を持って居間へ戻ったという推理は筋が通る。だが、包丁に血痕は付着していなかったし、犯人のものとみられる血痕も現場に無く、結局その包丁で犯人に傷を負わせるようなことはできなかったということになる。
犯人が予備の凶器として持ち出した可能性もあるが、これも持ち出したタイミングが問題となる。殺害後に現場偽装のために台所から持ってきた可能性も捨てきれない。
【遺留品】
遺留品の一つは布製粘着テープ。遺体に貼られていた分だけでなく、使い残した分が居間のコタツの上にそのまま遺されていた。同テープを現場付近で販売しているのはJR本八戸駅前のスーパーだけ。布製粘着テープは紙製よりも価格が高いため買う人は少ないという。店舗の記録から、事件当日27日の午前中に同テープを購入した中年男性が一人いることが分かっている。しかしこの点に関して続報は無い。
遺留品の二つ目はタバコの吸い殻2本。やはりコタツの上に置かれており、缶コーヒーの空き缶を灰皿代わりにしていた。被害者家族でタバコを吸う人はいない。銘柄はマイルドセブンライト。2本の吸い殻の唾液から同じ血液型を検出しているが、具体的に何型なのかは報道されていない。いずれにせよ、当時の青森県警はDNA型鑑定導入前で、決定的な物証とはならなかった。また、缶コーヒーの空き缶からは指紋が検出されず、犯人が拭き取ったか、手袋をしていた可能性がある。
この2本のタバコをどのタイミングで吸ったかは不明。家族が間もなく帰宅するというのにタバコを吸うのは随分と余裕が感じられる。犯人は被害者が帰宅するより前に家に侵入していて、タバコを吸いながら待ち伏せしていたと考えるほうが自然か。
粘着テープやタバコ2本を残しながらも凶器の刃物は見つかっておらず、しっかりと持ち去ったようである。そのためタバコについても単なる現場偽装とする指摘がある。
【侵入・逃走ルートは】
若花菜さんは両親と兄が2人の5人家族。父親は単身赴任のような形で関東で仕事をしており、長兄も県外で働いていた。よって事件時は母親・次兄・若花菜さんの3人暮らし。家の鍵は3人共持っていた。
事件当日の朝は母親と次兄がほぼ同時に家を出たが、確かに鍵はかけたという。しかし母親が帰宅時に玄関の鍵は開いていた。被害者が帰宅してそのままにしていて犯人が侵入した可能性もあるし、被害者自らが犯人を招き入れた可能性もある。単に犯人が玄関から逃走しただけなのかもしれない。
他に居間と脱衣所の窓が開いていたとのこと。これもまた犯人が侵入した可能性、逃走した可能性、あるいはその両方の可能性がある。要するに犯人の侵入及び逃走ルートはハッキリ分かっていないのである。
【推理】
若花菜さんはバレエを習っており、事件のあった水曜日はレッスンのある日だった。時間は19時から。母親が車で送り迎えをしており、母親は普段であれば19時30分頃に帰宅するところ、レッスンの日は18時30分頃に帰宅するようにして18時50分頃に家を出ていたという。
若花菜さんが友人には言えなかった「18時までに帰らなければならない理由」とはバレエのレッスンのことだったのだろうか。しかし事件以前はバレエのレッスンの日でも寄り道はしていたというからやや不自然ではある。なお、事件のあった正にその日は自宅にバレエの衣装が届く日だったという。若花菜さんがその衣装を着ることは叶わなかったが、この衣装の件で早く帰ろうとしていた可能性もある?友人に隠すような理由ではないような気もするが。
以下はあくまで筆者の個人的な推理だが、犯人は、被害者ではなく両親又は兄の知り合い、若しくは知り合いのように装った不審者ではないだろうか。「自分は両親(または兄)の知り合いだ。話があるから家で待たせてくれ」となどと言われたら、若花菜さんも思わず家に上げてしまうかもしれない。上述の台所から持ち出された被害者宅の包丁の件ともうまく合致する。事件より前の日に「27日の18時に家に行くから待っていてくれ」とコンタクトを取ったとしたら、「18時までに家に帰らなければならない理由」も解決する。しかしそのようなコンタクトがあったら、流石に家族に相談しているだろうか?あくまで犯人と被害者は事件時がファーストコンタクトであり、被害者の「18時に帰らなければならない理由」は事件とは全く無関係、おそらくバレエの衣装関係だったと考えるべきか。
では、犯人の目的は何か。現場が物色されていないことから、強盗目的の可能性は低いと考えられている。性的暴行の形跡は無かったものの、下着を脱がされていたことから、当初は性的暴行目的だったが家族の帰宅をおそれて逃走したということも有り得る。一方で、性的暴行目的に見せかけるために下着を脱がせただけの可能性も排除できない。すると残るは被害者自身若しくは家族への怨恨だ。被害者への執拗な攻撃は怨恨を強く疑わせる。
【その他情報】
事件発生当初の報道では、18時過ぎに集金人が訪れて被害者と話したとされているが、この集金人の言う被害者と話した時間帯というのがどうも辻褄が合わず、あまり重要視されていない。別の日と勘違いしたのではないだろうか。
他に注目される情報として、被害者宅裏手に広めの駐車場があるのだが、そこに「黄色のミニカトッポ」が事件前から長らく無断駐車されていた。目立つ車なので、被害者や母親もその存在に気づいていたという。件のミニカトッポは事件直後に若い男が乗って走り去るのが近隣住人によって目撃されており、その後二度と同じ場所に姿を現すことはなかった。県警もこの車の行方を追って対象車両を絞り込んだが進展無し。
【時効を迎えて】
2008年10月27日、殺人罪での公訴時効を迎える。11月5日、容疑者不詳のまま書類送検。17日、時効完成により不起訴処分。これにて捜査は終結した。
時効同日、被害者長兄が県警を通じてコメントを発表した。そこでは長期の捜査に尽力した警察に感謝するとともに、できるなら犯人を逮捕して欲しかったと率直な気持ちが述べられている。また捜査に協力した地域住人にも感謝を述べた。
【出典】
産経新聞1993年10月28日「女子中学生自宅で殺される」
毎日新聞1993年10月28日「女子中学生、自宅で殺される」
読売新聞1993年10月28日「自宅で中2少女殺される」
朝日新聞1997年10月26日「ミニカトッポに全力調査 八戸の女子中学生殺人事件から4年/青森」
デーリー東北新聞2003年10月「癒えぬ傷跡 八戸市女子中学生殺人事件から10年 上・中・下」
読売新聞2003年10月25日「八戸の中2女子殺人事件、未解決のまま10年 遺族ら「犯人捕まえて」」
朝日新聞2007年10月22日「八戸・中2殺害事件、時効まで1年 乏しい目撃情報、犯行目的絞れず 青森県」
読売新聞2008年9月28日「八戸の中学生殺害 時効まで1か月 犯人像絞り込めず」
朝日新聞2008年10月25日「八戸・宮古若花菜さん殺害 27日時効」
朝日新聞2008年10月25日「犯人逮捕へ最後の粘り 八戸・宮古若花菜さん殺害、27日時効」
産経新聞2008年10月27日「青森の女子中学生刺殺事件が時効 不審車情報も特定至らず」
毎日新聞2008年10月27日「青森・八戸の女子中学生刺殺:15年 捜査員「時効悔しい」現場のたばこ、今も吸い」
読売新聞2008年10月28日「八戸の中2女子殺害が時効」
朝日新聞2008年11月8日「被疑者不詳のまま、殺人容疑書類送検 若花菜さん殺害 青森県」
朝日新聞2008年11月19日「時効で不起訴処分 宮古若花菜さん殺害事件 青森県」
読売新聞2008年11月19日「時効の八戸中2殺害 地検が不起訴」
はちのへ今昔2008年10月「時効せまる・若花菜さん殺し1~5」
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【20分間の凶行】
事件当日17時40分頃、若花菜さんは陸上部の練習を終えて友人2人と共に下校する。普段であれば途中の食料品店に寄り道して18時30分頃に帰宅するのだが、若花菜さんは「今日は18時までに帰宅し、20分頃までは家に居なければならない」と言った。友人は理由を聞いたが、若花菜さんは理由を濁して答えなかったという。結局、この日は寄り道をせずに真っ直ぐ帰宅することになった。
17時53分頃 | JR本八戸駅前で友人らと別れて若花菜さん一人になる。 |
17時58分頃 | 近所の人が若花菜さん宅前を通りかかったが、宅内の照明は点いていなかったという。 |
18時00分頃 | 若花菜さんが帰宅したとみられる。 |
18時15分~20分頃 | 近所の住人16人がガラスの割れる音を聞く。「助けて」という叫び声を聞いたと証言する人もいた。 |
18時23分頃 | 若花菜さんの母親が帰宅。室内で若花菜さんが刺殺されているの発見。 |
18時25分頃 | 母親から助けを求められて近所の人が110番通報。 |
18時27分頃 | 119番通報を受理。 |
18時38分頃 | 救急隊が到着。死亡確認。 |
以上のタイムラインに従うと、若花菜さんは帰宅してから約20分のうちに殺害されたということになる。
【遺体】
遺体は極めて凄惨な状態だった。口には粘着テープが貼られ、両手も後ろ手に縛られていた。ふくらはぎ、首などに切り傷があり、特に心臓を貫通する刺し傷が致命傷になった。上半身は学校指定ジャージを着ていたが、下半身は脱がされて座布団がかけられていて、その脱がされた下着類は遺体傍らに置かれていた。ただし、性的暴行の形跡は無かったとされる。
被害者はひざにも傷があったが、これは鋭利な刃物で切られたものではない浅い傷だった。これについて、被害者が犯人から逃げようとして玄関のガラス戸を自ら割り、その時に負ったものだと分析されている。上記のとおり両手を縛られていたため足で蹴破るほかなかったのだろう。これはすなわち、犯人は玄関から遺体の発見された母親の寝室まで被害者を引きずり戻したということでもある。
以下の現場見取図のとおり、母親の寝室までは玄関→廊下→居間の順で通らなければならない。途中の廊下には一箇所血痕が確認されており、犯人は被害者を引きずり戻す途中で刺したとみられている。
【謎の包丁】
本事件の謎の一つは、遺体の隣に置かれた包丁である。これは被害者宅のもので、本来は台所にあるはずのもの。血痕等は全く付着しておらず、被害者を刺した凶器では有り得ない。この包丁を加害者・被害者どちらが、どのタイミングで、何のために持ち出したかは警察も着目している。
報道を参考に現場見取図を作成してみた。
図のとおり、包丁は台所から最も遠い部屋で見つかっている。被害者は帰宅すると自分の部屋にカバンを置き、居間へ行ってコタツのスイッチを入れたと思われるが、そのタイミングで襲われたとすれば台所まで取りに行くのは困難なはず。この時点で両手を縛られたらますます包丁を取りに行こうなどとは考えまい。真っ直ぐ玄関から逃げ出したほうがいい。そして台所には血痕が無かったというから、被害者が持ち出したのだとすれば、負傷する前(かつ両手を縛られる前)と考えた方が自然だろう。
犯人が顔見知りの人物であり、被害者は犯人を玄関で出迎えて居間へ通した後、身の危険を感じたため台所へ寄って包丁を持って居間へ戻ったという推理は筋が通る。だが、包丁に血痕は付着していなかったし、犯人のものとみられる血痕も現場に無く、結局その包丁で犯人に傷を負わせるようなことはできなかったということになる。
犯人が予備の凶器として持ち出した可能性もあるが、これも持ち出したタイミングが問題となる。殺害後に現場偽装のために台所から持ってきた可能性も捨てきれない。
【遺留品】
遺留品の一つは布製粘着テープ。遺体に貼られていた分だけでなく、使い残した分が居間のコタツの上にそのまま遺されていた。同テープを現場付近で販売しているのはJR本八戸駅前のスーパーだけ。布製粘着テープは紙製よりも価格が高いため買う人は少ないという。店舗の記録から、事件当日27日の午前中に同テープを購入した中年男性が一人いることが分かっている。しかしこの点に関して続報は無い。
遺留品の二つ目はタバコの吸い殻2本。やはりコタツの上に置かれており、缶コーヒーの空き缶を灰皿代わりにしていた。被害者家族でタバコを吸う人はいない。銘柄はマイルドセブンライト。2本の吸い殻の唾液から同じ血液型を検出しているが、具体的に何型なのかは報道されていない。いずれにせよ、当時の青森県警はDNA型鑑定導入前で、決定的な物証とはならなかった。また、缶コーヒーの空き缶からは指紋が検出されず、犯人が拭き取ったか、手袋をしていた可能性がある。
この2本のタバコをどのタイミングで吸ったかは不明。家族が間もなく帰宅するというのにタバコを吸うのは随分と余裕が感じられる。犯人は被害者が帰宅するより前に家に侵入していて、タバコを吸いながら待ち伏せしていたと考えるほうが自然か。
粘着テープやタバコ2本を残しながらも凶器の刃物は見つかっておらず、しっかりと持ち去ったようである。そのためタバコについても単なる現場偽装とする指摘がある。
【侵入・逃走ルートは】
若花菜さんは両親と兄が2人の5人家族。父親は単身赴任のような形で関東で仕事をしており、長兄も県外で働いていた。よって事件時は母親・次兄・若花菜さんの3人暮らし。家の鍵は3人共持っていた。
事件当日の朝は母親と次兄がほぼ同時に家を出たが、確かに鍵はかけたという。しかし母親が帰宅時に玄関の鍵は開いていた。被害者が帰宅してそのままにしていて犯人が侵入した可能性もあるし、被害者自らが犯人を招き入れた可能性もある。単に犯人が玄関から逃走しただけなのかもしれない。
他に居間と脱衣所の窓が開いていたとのこと。これもまた犯人が侵入した可能性、逃走した可能性、あるいはその両方の可能性がある。要するに犯人の侵入及び逃走ルートはハッキリ分かっていないのである。
【推理】
若花菜さんはバレエを習っており、事件のあった水曜日はレッスンのある日だった。時間は19時から。母親が車で送り迎えをしており、母親は普段であれば19時30分頃に帰宅するところ、レッスンの日は18時30分頃に帰宅するようにして18時50分頃に家を出ていたという。
若花菜さんが友人には言えなかった「18時までに帰らなければならない理由」とはバレエのレッスンのことだったのだろうか。しかし事件以前はバレエのレッスンの日でも寄り道はしていたというからやや不自然ではある。なお、事件のあった正にその日は自宅にバレエの衣装が届く日だったという。若花菜さんがその衣装を着ることは叶わなかったが、この衣装の件で早く帰ろうとしていた可能性もある?友人に隠すような理由ではないような気もするが。
以下はあくまで筆者の個人的な推理だが、犯人は、被害者ではなく両親又は兄の知り合い、若しくは知り合いのように装った不審者ではないだろうか。「自分は両親(または兄)の知り合いだ。話があるから家で待たせてくれ」となどと言われたら、若花菜さんも思わず家に上げてしまうかもしれない。上述の台所から持ち出された被害者宅の包丁の件ともうまく合致する。事件より前の日に「27日の18時に家に行くから待っていてくれ」とコンタクトを取ったとしたら、「18時までに家に帰らなければならない理由」も解決する。しかしそのようなコンタクトがあったら、流石に家族に相談しているだろうか?あくまで犯人と被害者は事件時がファーストコンタクトであり、被害者の「18時に帰らなければならない理由」は事件とは全く無関係、おそらくバレエの衣装関係だったと考えるべきか。
では、犯人の目的は何か。現場が物色されていないことから、強盗目的の可能性は低いと考えられている。性的暴行の形跡は無かったものの、下着を脱がされていたことから、当初は性的暴行目的だったが家族の帰宅をおそれて逃走したということも有り得る。一方で、性的暴行目的に見せかけるために下着を脱がせただけの可能性も排除できない。すると残るは被害者自身若しくは家族への怨恨だ。被害者への執拗な攻撃は怨恨を強く疑わせる。
【その他情報】
事件発生当初の報道では、18時過ぎに集金人が訪れて被害者と話したとされているが、この集金人の言う被害者と話した時間帯というのがどうも辻褄が合わず、あまり重要視されていない。別の日と勘違いしたのではないだろうか。
他に注目される情報として、被害者宅裏手に広めの駐車場があるのだが、そこに「黄色のミニカトッポ」が事件前から長らく無断駐車されていた。目立つ車なので、被害者や母親もその存在に気づいていたという。件のミニカトッポは事件直後に若い男が乗って走り去るのが近隣住人によって目撃されており、その後二度と同じ場所に姿を現すことはなかった。県警もこの車の行方を追って対象車両を絞り込んだが進展無し。
【時効を迎えて】
2008年10月27日、殺人罪での公訴時効を迎える。11月5日、容疑者不詳のまま書類送検。17日、時効完成により不起訴処分。これにて捜査は終結した。
時効同日、被害者長兄が県警を通じてコメントを発表した。そこでは長期の捜査に尽力した警察に感謝するとともに、できるなら犯人を逮捕して欲しかったと率直な気持ちが述べられている。また捜査に協力した地域住人にも感謝を述べた。
【出典】
産経新聞1993年10月28日「女子中学生自宅で殺される」
毎日新聞1993年10月28日「女子中学生、自宅で殺される」
読売新聞1993年10月28日「自宅で中2少女殺される」
朝日新聞1997年10月26日「ミニカトッポに全力調査 八戸の女子中学生殺人事件から4年/青森」
デーリー東北新聞2003年10月「癒えぬ傷跡 八戸市女子中学生殺人事件から10年 上・中・下」
読売新聞2003年10月25日「八戸の中2女子殺人事件、未解決のまま10年 遺族ら「犯人捕まえて」」
朝日新聞2007年10月22日「八戸・中2殺害事件、時効まで1年 乏しい目撃情報、犯行目的絞れず 青森県」
読売新聞2008年9月28日「八戸の中学生殺害 時効まで1か月 犯人像絞り込めず」
朝日新聞2008年10月25日「八戸・宮古若花菜さん殺害 27日時効」
朝日新聞2008年10月25日「犯人逮捕へ最後の粘り 八戸・宮古若花菜さん殺害、27日時効」
産経新聞2008年10月27日「青森の女子中学生刺殺事件が時効 不審車情報も特定至らず」
毎日新聞2008年10月27日「青森・八戸の女子中学生刺殺:15年 捜査員「時効悔しい」現場のたばこ、今も吸い」
読売新聞2008年10月28日「八戸の中2女子殺害が時効」
朝日新聞2008年11月8日「被疑者不詳のまま、殺人容疑書類送検 若花菜さん殺害 青森県」
朝日新聞2008年11月19日「時効で不起訴処分 宮古若花菜さん殺害事件 青森県」
読売新聞2008年11月19日「時効の八戸中2殺害 地検が不起訴」
はちのへ今昔2008年10月「時効せまる・若花菜さん殺し1~5」
https://hachinohe-konjaku.blogspot.com/