2001年4月20日、徳島県徳島市のMさん(当時66歳)宅から出火。焼け跡からMさんの遺体が発見された。さらに翌日21日、兵庫県淡路島の別荘造成地でMさんの長男(38歳)の焼死体が発見された。2人とも鈍器で頭を殴られ、首を絞められていたことが判明。Mさんの預金通帳(総額4000万円)も失くなっていた。
徳島県警は父子のパチンコ仲間であった小池 俊一(こいけ としかず、当時40歳)を被疑者として特定。淡路島に小池の車が乗り捨てられており、そこで採取された血痕がDNA鑑定によりMさん長男のものと一致したことが決め手だった。しかし小池の行方は掴めず、2001年5月に長男への殺人容疑などで全国指名手配した。
【日本一有名な指名手配犯】
その後もなかなか捜査に進展が無く、2004年には「おい、小池!」と大きく書かれた新たな指名手配書が作成された。指名手配犯に呼びかけるようなこの特徴的な手配書は従来例の無いもので、全国的に大きく取り上げられて有名になった。2010年には捜査特別報奨金の対象事件に指定。
2011年5月、Mさん宅の遺留品捜査から小池の容疑が固まったとして、それまでは長男への殺人容疑などで手配していたところ、新たにMさんへの強盗殺人と現住建造物等宅放火容疑で逮捕状を取った。
【意外な結末】
2012年10月、事件は意外な結末を迎える。
10月9日、岡山県岡山市のマンション一室のトイレで男が心臓疾患により倒れた。同居する女性が119番通報したが、午後22時15分頃に死亡。男は「小笠原 準一」という名前だった。岡山県警が検視を行うも「事件性無し」として指紋照合等は行わず。
しかし葬儀業者が「小笠原は偽名ではないか」と警察に連絡し、改めて指紋を照合するとなんと男の正体は「おい、小池!」の小池 俊一であると判明した。亡くなった小池は手配書に記載されたとおり、前歯が4本抜けていて、こめかみにほくろがあった。整形手術の形跡は無かったとされる。
同居していた女性は「小笠原 準一」について「偽名と分かっていたが、小池容疑者とは知らなかった」と語る。女性の働く飲食店に小池が客として訪れて親しくなり、2005年頃から同居していたという。小池は仕事をしておらず、女性の収入で生活していたとみられる。奪った預金通帳を利用した金の引き出しは一切無かった。
2人の住むマンションは岡山市有数の繁華街付近で、500メートル先には岡山県警本部がある。そのような環境下でも小池は堂々と外を歩いていたとのこと。小池は手配書の写真と容姿がだいぶ変わっていたというが、それにしても日本全国で有名な指名手配犯にしては大胆な逃亡生活であった。
因みに事故物件情報共有サイト「大島てる」に小池の潜伏していたマンションの情報が掲載されています。
【必死の捜査空しく】
「おい、小池!」の手配書は2004年から8年間で計約108万枚作製された。情報提供は約4400件あったというが、結局小池が亡くなるまで身柄を捕らえることはできなかった。それどころか葬儀業者が気づかなければ、小池の行方は永遠に掴めなくなるところであった。
徳島県警は、インパクトある手配書で犯人を全国的に有名にし、その後も手配書の改良を続け、ケータイの待受画像として配布したり、Yahoo!Japanにバナー広告を出したり、「リーゼント刑事」こと秋山警部がテレビ番組に積極的に出演したり、2012年(小池が死亡した年)の始めには変装や加齢を想定した顔写真12種類を作成したり、あらゆる手段を尽くして情報提供を呼びかけ続けた。実際に多くの情報が寄せられたのだから、その活動には一定の効果があったと評価できよう。しかし結末は何とも虚しいものだった。事件の真相は永遠に不明のままである。
小池の死亡を受けて2012年10月中にほぼ全ての手配書が撤去された。12月5日に被疑者死亡のまま書類送検され、12月12日に被疑者死亡で不起訴処分。被疑者死亡で発見されたことにより、捜査特別報奨金は支払われなかった。なお、通報した葬儀業者には感謝状が送られている。
【出典】
朝日新聞2001年5月29日「殺人などの容疑で無職男に逮捕状 徳島・父子殺人事件」
毎日新聞2001年5月29日「徳島の父子殺害事件 顔見知りの男に逮捕状ーー徳島県警・兵庫県警」
毎日新聞2001年5月29日「徳島市父子殺人事件 小池俊一容疑者、ギャンブルなどで借金」
読売新聞2001年5月29日「徳島父子殺人事件 容疑者を手配/徳島・兵庫県警」
朝日新聞2001年6月7日「小池容疑者を公開捜査 徳島の父子連続殺人事件」
朝日新聞2001年10月29日「容疑者の行方つかめず 徳島市の父子殺害から半年」
朝日新聞2005年4月22日「手配容疑者の顔、スクリーン放映 小松島競輪場」
読売新聞2005年11月1日「ネット広告に「指名手配犯」警察庁、情報求める」
読売新聞2006年5月27日「殺人手配「おい小池!」顔写真入りティッシュ、全国で配布/徳島県警」
朝日新聞2007年2月2日「おい、小池!運送会社、トラック50台にポスター協力 連続殺人・放火事件」
読売新聞2007年2月2日「親子殺害手配容疑者 県警、トラックに「おい小池」ポスター貼る=徳島」
読売新聞2010年9月9日「01年父子連続殺人 手配の小池容疑者逃さん 200万円警察庁特別対象=徳島」
読売新聞2010年10月1日「特別報奨金300万円にアップ 01年親子殺人、有力情報に=徳島」
読売新聞2011年4月20日「父親殺害容疑でも逮捕状 徳島・父子連続殺害 DNAで裏付け」
毎日新聞2011年11月1日「徳島・父子殺害:手配ポスター、作り替え 早期解決、決意込め」
読売新聞2011年11月5日「おい、小池!そろそろだ! 県警 解決へ新ポスター=徳島」
朝日新聞2011年11月8日「逮捕「そろそろだ!」親子殺人容疑事件、県警ポスター刷新/徳島県」
朝日新聞2012年6月17日「「小池容疑者、次はお前だ!」情報提供呼びかけ オウム高橋容疑者逮捕受け/徳島県」
読売新聞2012年6月19日「おい、小池!老けたな! 父子連続殺人事件 外部依頼し手配写真刷新=徳島」
読売新聞2012年6月24日「小池!次はお前だ!徳島県警 手配写真見直しへ」
朝日新聞2012年10月21日「小池容疑者、岡山で病死 徳島2人殺害、逃亡11年」
毎日新聞2012年10月21日「徳島・父子殺害:小池容疑者が病死 逃走11年、岡山で女性と同居 葬儀業者が通報」
読売新聞2012年10月21日「徳島父子殺害 手配の小池容疑者、死亡 岡山市内、偽名で生活」
読売新聞2012年10月21日「小池容疑者死亡 「偽名かもしれない」同居女性依頼、葬儀業者が通報」
朝日新聞2012年10月22日「「小池容疑者と知らなかった」岡山で同居の男性」
毎日新聞2012年10月22日「徳島・父子殺害:小池容疑者が病死 「容疑者と知らず」同居女性、10年前知り合い支援」
読売新聞2012年10月22日「犯行直後に岡山潜伏か 小池容疑者 同居女性と知り合う」
読売新聞2012年10月22日「小池容疑者 潜伏のビル 住民ら全く気づかず「捜査員来たことない」」
朝日新聞2012年10月23日「小池容疑者死因、心臓疾患と発表 岡山県警」
読売新聞2012年10月23日「小池容疑者死亡 遺族 落胆と安堵と 真実 得られぬまま、事件が終わる=徳島」
朝日新聞2012年10月27日「小池容疑者、余裕の潜伏 買い物・駅までビラ配り あいさつ返し「うっす」」
読売新聞2012年10月27日「小池容疑者死亡 懸賞金なしに 県警「事件解決の情報ない」=徳島」
読売新聞2012年12月12日「小池容疑者身元判明に貢献 岡山の男性に感謝状=徳島」
朝日新聞2012年12月13日「小池容疑者死亡で地検が不起訴処分」
読売新聞2012年12月13日「小池容疑者死亡で不起訴=徳島」
朝日新聞2019年2月13日「「おい、小池!」情報激増 徳島市親子連続殺人・放火事件を振り返る/岡山県」
徳島県警は父子のパチンコ仲間であった小池 俊一(こいけ としかず、当時40歳)を被疑者として特定。淡路島に小池の車が乗り捨てられており、そこで採取された血痕がDNA鑑定によりMさん長男のものと一致したことが決め手だった。しかし小池の行方は掴めず、2001年5月に長男への殺人容疑などで全国指名手配した。
【日本一有名な指名手配犯】
その後もなかなか捜査に進展が無く、2004年には「おい、小池!」と大きく書かれた新たな指名手配書が作成された。指名手配犯に呼びかけるようなこの特徴的な手配書は従来例の無いもので、全国的に大きく取り上げられて有名になった。2010年には捜査特別報奨金の対象事件に指定。
2011年5月、Mさん宅の遺留品捜査から小池の容疑が固まったとして、それまでは長男への殺人容疑などで手配していたところ、新たにMさんへの強盗殺人と現住建造物等宅放火容疑で逮捕状を取った。
【意外な結末】
2012年10月、事件は意外な結末を迎える。
10月9日、岡山県岡山市のマンション一室のトイレで男が心臓疾患により倒れた。同居する女性が119番通報したが、午後22時15分頃に死亡。男は「小笠原 準一」という名前だった。岡山県警が検視を行うも「事件性無し」として指紋照合等は行わず。
しかし葬儀業者が「小笠原は偽名ではないか」と警察に連絡し、改めて指紋を照合するとなんと男の正体は「おい、小池!」の小池 俊一であると判明した。亡くなった小池は手配書に記載されたとおり、前歯が4本抜けていて、こめかみにほくろがあった。整形手術の形跡は無かったとされる。
同居していた女性は「小笠原 準一」について「偽名と分かっていたが、小池容疑者とは知らなかった」と語る。女性の働く飲食店に小池が客として訪れて親しくなり、2005年頃から同居していたという。小池は仕事をしておらず、女性の収入で生活していたとみられる。奪った預金通帳を利用した金の引き出しは一切無かった。
2人の住むマンションは岡山市有数の繁華街付近で、500メートル先には岡山県警本部がある。そのような環境下でも小池は堂々と外を歩いていたとのこと。小池は手配書の写真と容姿がだいぶ変わっていたというが、それにしても日本全国で有名な指名手配犯にしては大胆な逃亡生活であった。
因みに事故物件情報共有サイト「大島てる」に小池の潜伏していたマンションの情報が掲載されています。
【必死の捜査空しく】
「おい、小池!」の手配書は2004年から8年間で計約108万枚作製された。情報提供は約4400件あったというが、結局小池が亡くなるまで身柄を捕らえることはできなかった。それどころか葬儀業者が気づかなければ、小池の行方は永遠に掴めなくなるところであった。
徳島県警は、インパクトある手配書で犯人を全国的に有名にし、その後も手配書の改良を続け、ケータイの待受画像として配布したり、Yahoo!Japanにバナー広告を出したり、「リーゼント刑事」こと秋山警部がテレビ番組に積極的に出演したり、2012年(小池が死亡した年)の始めには変装や加齢を想定した顔写真12種類を作成したり、あらゆる手段を尽くして情報提供を呼びかけ続けた。実際に多くの情報が寄せられたのだから、その活動には一定の効果があったと評価できよう。しかし結末は何とも虚しいものだった。事件の真相は永遠に不明のままである。
小池の死亡を受けて2012年10月中にほぼ全ての手配書が撤去された。12月5日に被疑者死亡のまま書類送検され、12月12日に被疑者死亡で不起訴処分。被疑者死亡で発見されたことにより、捜査特別報奨金は支払われなかった。なお、通報した葬儀業者には感謝状が送られている。
【出典】
朝日新聞2001年5月29日「殺人などの容疑で無職男に逮捕状 徳島・父子殺人事件」
毎日新聞2001年5月29日「徳島の父子殺害事件 顔見知りの男に逮捕状ーー徳島県警・兵庫県警」
毎日新聞2001年5月29日「徳島市父子殺人事件 小池俊一容疑者、ギャンブルなどで借金」
読売新聞2001年5月29日「徳島父子殺人事件 容疑者を手配/徳島・兵庫県警」
朝日新聞2001年6月7日「小池容疑者を公開捜査 徳島の父子連続殺人事件」
朝日新聞2001年10月29日「容疑者の行方つかめず 徳島市の父子殺害から半年」
朝日新聞2005年4月22日「手配容疑者の顔、スクリーン放映 小松島競輪場」
読売新聞2005年11月1日「ネット広告に「指名手配犯」警察庁、情報求める」
読売新聞2006年5月27日「殺人手配「おい小池!」顔写真入りティッシュ、全国で配布/徳島県警」
朝日新聞2007年2月2日「おい、小池!運送会社、トラック50台にポスター協力 連続殺人・放火事件」
読売新聞2007年2月2日「親子殺害手配容疑者 県警、トラックに「おい小池」ポスター貼る=徳島」
読売新聞2010年9月9日「01年父子連続殺人 手配の小池容疑者逃さん 200万円警察庁特別対象=徳島」
読売新聞2010年10月1日「特別報奨金300万円にアップ 01年親子殺人、有力情報に=徳島」
読売新聞2011年4月20日「父親殺害容疑でも逮捕状 徳島・父子連続殺害 DNAで裏付け」
毎日新聞2011年11月1日「徳島・父子殺害:手配ポスター、作り替え 早期解決、決意込め」
読売新聞2011年11月5日「おい、小池!そろそろだ! 県警 解決へ新ポスター=徳島」
朝日新聞2011年11月8日「逮捕「そろそろだ!」親子殺人容疑事件、県警ポスター刷新/徳島県」
朝日新聞2012年6月17日「「小池容疑者、次はお前だ!」情報提供呼びかけ オウム高橋容疑者逮捕受け/徳島県」
読売新聞2012年6月19日「おい、小池!老けたな! 父子連続殺人事件 外部依頼し手配写真刷新=徳島」
読売新聞2012年6月24日「小池!次はお前だ!徳島県警 手配写真見直しへ」
朝日新聞2012年10月21日「小池容疑者、岡山で病死 徳島2人殺害、逃亡11年」
毎日新聞2012年10月21日「徳島・父子殺害:小池容疑者が病死 逃走11年、岡山で女性と同居 葬儀業者が通報」
読売新聞2012年10月21日「徳島父子殺害 手配の小池容疑者、死亡 岡山市内、偽名で生活」
読売新聞2012年10月21日「小池容疑者死亡 「偽名かもしれない」同居女性依頼、葬儀業者が通報」
朝日新聞2012年10月22日「「小池容疑者と知らなかった」岡山で同居の男性」
毎日新聞2012年10月22日「徳島・父子殺害:小池容疑者が病死 「容疑者と知らず」同居女性、10年前知り合い支援」
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読売新聞2012年10月23日「小池容疑者死亡 遺族 落胆と安堵と 真実 得られぬまま、事件が終わる=徳島」
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朝日新聞2012年12月13日「小池容疑者死亡で地検が不起訴処分」
読売新聞2012年12月13日「小池容疑者死亡で不起訴=徳島」
朝日新聞2019年2月13日「「おい、小池!」情報激増 徳島市親子連続殺人・放火事件を振り返る/岡山県」