1991年10月27日日曜日の深夜、千葉県千葉市若葉区多部田町にて、同級生3人とコンビニへ行った女子中学生1名が、補導員を装う中年男に連れて行かれた。女子中学生はその後も戻ること無く、補導員を装った男による誘拐事件と断定。しかし女子中学生も男も行方を掴むことができず、2020年現在未解決の事件となっている。

【深夜に出かけた中学生たち】
 10月26日から27日へ日付の変わる午前0時頃、佐久間 奈々さん(当時13歳)は、奈々さんの自宅アパートで勉強をするために集まっていた同級生3人と一緒にコンビニへ夜食を買いに出かけた。奈々さんの家庭は母子家庭であり、母親は当時ホステスへ働きに出ていたとのこと。

 中学生4人は、若葉区大宮台にある奈々さんの自宅から4キロほど離れた小倉台のコンビニへ自転車で向かった。近所のコンビニは23時で閉まっていたらしく、24時間営業の店舗となると小倉台まで行くしかなかったのである。そして買い物を終えた帰り道、国道126号線の坂月町交差点を渡り、そこから260メートルほど進んだ多部田町のあたりで事件は起こる。

 奈々さんは自転車のバランスを崩して転んでしまった。他の3人もそこで一旦止まる。すると4人の後ろを歩いていた中年の男が彼女たちを追い越し、数メートル進んだところで振り返って声をかけてきた。

 男は「こんな所で何をしているんだ。お前たちシンナーを吸っているんだろう。16歳未満の者が11時過ぎに歩いていると犯罪になる」などと4人を脅し、奈々さんに対して「お前が代表でついてこい」と指名すると、他の同級生たちは帰らせた。そうして奈々さんは男によって自宅とは逆方向へ連れて行かれてしまった。奈々さんの自転車だけが現場に残された。

 同級生3人だけが奈々さんの自宅アパートに戻る。しかし1時間過ぎても奈々さんは戻ってこない。家族にも相談して周辺を捜索するが見つからない。午前4時20分頃、警察に通報。以後、2020年現在まで奈々さんの行方は不明。不審な男も特定されていない。

【目撃証言】
 午前1時20分~30分頃、坂月町交差点で、奈々さんと男らしき2人連れを通りがかった車の運転手が目撃したという。また、午前4時過ぎには、隣接する千城台のあたりを2人連れが歩いていたという目撃情報もあった。しかしこれら目撃情報が確かだったとしても、その後の2人の足取りは分からない。2人は一体どこへ向かったのだろうか。

 不審な男は当時40~55歳くらいで、身長は約155センチ。容姿についても公開されている。

【リンク】
 千葉東警察署による情報提供呼びかけページは以下のとおり。
 https://www.police.pref.chiba.jp/police_department/chiba_e/info.html

【出典】
 朝日新聞1991年11月7日「女子中学生が行方不明10日 補導員装い連れ去る 千葉」
 朝日新聞1991年11月7日「夜食買い、帰り…「補導」装う 女子中学生誘拐の公開捜査開始 千葉」
 毎日新聞1991年11月7日「中1女子連れ去りで千葉県警が公開捜査」
 読売新聞1991年11月7日「中1女子、連れ去られ不明 既に10日 深夜、中年男に」
 読売新聞1991年11月9日「女子中生誘拐事件 依然足取り不明」
 朝日新聞1991年12月5日「少女はどこへ? 焦る捜査陣 千葉市の中学生誘拐事件、写真を公開」
 朝日新聞1991年12月5日「捜査進まず名前を公表 千葉市の女子中学生誘拐」
 読売新聞1991年12月5日「誘拐女子中学生の写真公開 一般情報に期待」