2005年4月29日、香川県坂出市王越町にて開催されたタケノコ掘りのイベント中に、大西有紀ちゃん(5歳)が行方不明となった。有力な手がかりが無いまま、2020年現在も未解決。

【タケノコを掘りに行って】
 2005年4月29日は金曜日。祝日で、3連休の初日。4月29日は2007年以降は「昭和の日」となっているが、2005年当時は「みどりの日」であった。

 有紀ちゃんは、母親(42歳)と姉(8歳)と一緒に地域主催のタケノコ掘りイベントに参加していた。イベント参加者は、有紀ちゃん家族を含めて19家族(54人)とボランティア(6人)の計60人。午後13時にタケノコ掘り開始。14時には竹林内の休憩所に集合する予定だった。

 13時半頃、有紀ちゃんは母親に「もう1本取ってくる!」と言って一人で竹林の遊歩道を走っていった。これが家族による最後の目撃情報である。その後、14時になっても有紀ちゃんは戻ってこない。他の参加者も協力して捜索するが見つからず。15時に警察へ通報。以後、連日捜索するも2020年に至るまで有紀ちゃんは見つかっていない。

【目撃証言】
 母親と別れた後の目撃証言も報道されている。別れた地点から竹林の遊歩道を進んでいったところで、同じイベントに参加していた女子中学生が有紀ちゃんと少し会話をしたという。そこから更に進んだ地点にいるところを同じくイベント参加者の男性が目撃している。男性は集合場所であった東屋から遊歩道を見下ろしており、有紀ちゃんが遊歩道を進んでいくのを見たのだという。時間は13時40分頃とされる。しかしその後の目撃情報は無し。竹林に隣接するオートキャンプ場や、竹林を出た車道の方での目撃証言は皆無だ。

【捜索】
 竹林のすぐ横には地元で「タンベ池」と呼ばれる農業用のため池がある。水深は約3メートル。水を抜いて捜索されたが、有紀ちゃん本人も、持ち物さえも見つからなかった。

 警察犬による捜索も行われた。警察犬は竹林の途中にある少し開けたスペースで足をとめた。更に4頭を追加したが、追加の4頭も同じ地点で足をとめたという。もしも有紀ちゃんが不審者に攫われたとしても、抱きかかえて連れ去るだけでは警察犬の追跡を振り切ることはできない。つまり、この匂いの途切れた地点で車に乗せるなどしなければならないというわけだ。しかし現場となった狭い竹林に車が入ってくるというのは物理的に無理がある。他のイベント参加者が気づかないわけがない。一方で、他の多くの人間が行き来したため匂いを追えなくなっただけだとする指摘もある。

 ワシなど大型の鳥が連れ去ったとする推理もある。突飛な発想に思えるが、捜索チラシにも明記されたとおり有紀ちゃんの当時の体重は約15.5kgである。大型の鳥類であればこの程度の重量は軽く掴んで飛ぶことはできる。

 いずれにせよ、この警察犬の件は特にセンセーショナルに報道されて注目を集めており、筆者も一応触れたわけだが、この件はかえって事件の実態を分かりづらくしている気もする。当日はタケノコ掘りイベントだけでなく、隣接するオートキャンプ場にも多くの人がいて出入りは多い。子どもを連れて歩いている人がいても不自然さはなく、ほとんど気に留めなかったのではないだろうか。

【参考サイト】
 youtubeに現場を歩いた動画があったので紹介する。時間帯は不明で天気も曇りだが、竹林は薄暗くて見通しが悪い。
 https://youtu.be/uqIHRncRRvI

 「大西有紀ちゃんを探す会」によるホームページは以下。当日ホームビデオが回っており、有紀ちゃんの服装を確認することができる。
 http://yuuki.n-ne.jp/

 香川県警による情報提供呼びかけページは以下。2020年現在も捜索は継続している。
 https://www.pref.kagawa.lg.jp/police/otazune/yukuefumei/yukuefumei1.html