2001年4月14日未明、栃木県那須郡西那須野町にある民家の駐車場で、仰向けになって血まみれで倒れている女性が発見された。死因は刃物で首、胸、背中などおよそ十箇所を刺されたことによる失血死。女性は現場付近のマンションに住む女子大生であった。
未明の犯行ということもあって有力な目撃証言は少なく、犯人が特定されないまま2020年現在も未解決事件となっている。
【事件発生】
被害者は、栃木県大田原市にキャンパスのある国際医療福祉大学看護学科4年生。年齢は当時24歳。事件前日4月13日は午後16時に講義が終了し、パチンコ店のアルバイトに向かった。そのアルバイトは午後23時頃に終わり、しばらく同僚たちと一緒に話をしていた。
日付が変わって4月14日の午前0時頃、バイト先から1人で車で帰る。0時50分頃から1時頃にコンビニで買い物をした記録が残っている。そして午前1時30分頃、自宅マンションに着いたとみられる。被害者は2年前から大学の友人女性とルームシェアをしていたが、この日は友人は不在にしていた。
午前3時頃、近所の住人は「助けて」という悲鳴を10回以上聞いたという。だが、ふざけているのだと思われ、110番通報はされなかった。
午前4時頃、自宅マンションではなく約20メートル北にある民家の駐車場で遺体発見。通報したのは新聞配達員だった。
【深夜のマンションで】
被害者宅は3階建てのマンションで、被害者の住む部屋は1階にある。部屋はカードキー式で、窓から押し入った痕跡は無く、被害者が犯人を招き入れたと考えるのが自然だろう。室内には激しく争った跡があり、財布は残されたが、中身の現金やカードキーが失くなっていた。ただし、室内の物色や現金の抜き取りがどのタイミングで行われたかは確定しない。被害者を殺害してから部屋に戻ってきた可能性もある。
被害者はまず自室で刺されたとみられる。部屋には少量の血痕が残っていた。驚いた被害者は部屋の窓から外へ脱出。当然裸足のまま。部屋から脱出後のルートについても検証されているが、被害者は真っ直ぐ民家に向かったのではなく、マンションを反時計回りにぐるっと一周するようにして逃げてから北方向の民家へ向かったとみられている。
辿り着いた民家の窓ガラスは割られ、被害者の手の甲にも傷があった。どうにかして助かろうと必死だったのだろう。しかし生憎と民家はこのとき留守であった。そして追いかけてきた犯人に心臓を刺され、これが致命傷となった。民家の前から最終的に遺体の発見される駐車場まで、3メートルほど引き摺ったような血痕が残った。犯人が遺体を引き摺ったのか、まだ息のあった被害者が這っていったのかは定かでない。
上記のとおり、被害者は裸足のままだった。服装は裸にブラウスだけ。つまり下着等はつけていなかったということ。乱暴されたような形跡は無かったとされる。犯人が部屋に入る前から下着をつけていなかったのか、犯人が部屋に入った後で下着を脱いだ(そして刃物で刺された)のか。こんなこと特定できないだろうが、被害者と犯人の関係を推測できそうではある。
【推理】
犯人像ははっきりしない。財布から現金が抜き取られていたものの、被害者を部屋の外まで執拗に追いかけていって何度も刺すということは、単なる強盗目的ではなく強い恨みがあったと考えるべきか。カードキー式の部屋で、かつ窓から侵入してきた形跡は無い、とすると被害者自らがドアを開けるほかないだろう。しかも深夜に招き入れるとなれば、顔見知り相手の可能性が高い。上述のとおり、ルームメイトの女性はこの日不在にしていたわけだが、犯人はその事も知っていたのだろうか。
足跡から犯人の靴のサイズは26センチとされている。また、犯人のものと思われる血痕があったという情報もあり、被害者と争う中で犯人も負傷した可能性がある。
捜査の初期のうちには、現場付近に住んでいる手に怪我をした男性(同じマンションの上の階、中国籍とした報道もあった)を事情聴取していると報道された。しかし続報は無し。空振りだったのか、もしくは誤報か。
【謎】
他にも残る謎がある。被害者の車は、マンションの南側(駆け込んだ民家とは反対方向)にある町営駐車場付近に停められていた。しかし被害者は普段であればマンションすぐそばのスペースに駐車していたという。報道によれば、被害者が町営駐車場を利用するのは友人が車で訪れた時だというから、やはり知人・友人による犯行説が有力となる。一方で、キーが付いたままだったという報道もあり、事件後に犯人自らが運転して移動させたという見方もある。そうだとしたら何故そのようなことをしたのか理由は分からない。キーやハンドルから指紋や血痕などは発見されていない模様。
凶器となった刃渡り20センチの文化包丁は、この町営駐車場にあるトイレの裏側に捨てられていた。犯人としては一応隠したつもりだったのだろうか。持ち去ることもできたと思われるが…。報道によれば指紋など犯人に結びつくような痕跡は見つからなかったとされており、犯人としてはそれで十分だと考えたのかもしれない。
【リンク】
那須塩原警察署による情報提供呼びかけページは以下。2020年現在もビラ配りをするなどで情報提供呼びかけを継続している。しかし手配書に載っている情報がすごくアバウトだ。本当に捜査する気があるのだろうか。
http://www.pref.tochigi.lg.jp/keisatu/hanzaisousa/satuzin.html
【出典】
朝日新聞2001年4月14日「女子大学生の?他殺体発見 栃木・西那須野町」
読売新聞2001年4月14日「栃木で女子大生?殺される 未明に悲鳴、刺された跡」
朝日新聞2001年4月15日「未明に「助けて」悲鳴響く 西那須野町で女子大生殺害/栃木」
朝日新聞2001年4月16日「部屋に血痕、争った形跡 栃木の女子大生刺殺」
読売新聞2001年4月16日「西那須野の女子大生殺害 執ように襲った犯人 半年前も侵入男=栃木」
読売新聞2001年4月17日「栃木の女子大生刺殺 現場に26センチ前後の運動靴跡 種類の特定急ぐ」
読売新聞2001年4月17日「西那須野の女子大生殺害 財布の紙幣なくなる バッグの口開いたまま放置=栃木」
朝日新聞2001年4月19日「前田さんの乗用車に血痕 犯人運転し移動か? 女子大生殺人/栃木」
朝日新聞2001年4月21日「西那須野町の女子大生殺害から1週間 顔見知りの男の犯行か/栃木」
読売新聞2001年5月12日「西那須野の女子大生刺殺から1か月 犯人像固まらず、捜査長期化へ=栃木」
朝日新聞2001年5月13日「遺留品少なく、捜査難航 西那須野町・女子大生殺人1ヵ月/栃木」
未明の犯行ということもあって有力な目撃証言は少なく、犯人が特定されないまま2020年現在も未解決事件となっている。
【事件発生】
被害者は、栃木県大田原市にキャンパスのある国際医療福祉大学看護学科4年生。年齢は当時24歳。事件前日4月13日は午後16時に講義が終了し、パチンコ店のアルバイトに向かった。そのアルバイトは午後23時頃に終わり、しばらく同僚たちと一緒に話をしていた。
日付が変わって4月14日の午前0時頃、バイト先から1人で車で帰る。0時50分頃から1時頃にコンビニで買い物をした記録が残っている。そして午前1時30分頃、自宅マンションに着いたとみられる。被害者は2年前から大学の友人女性とルームシェアをしていたが、この日は友人は不在にしていた。
午前3時頃、近所の住人は「助けて」という悲鳴を10回以上聞いたという。だが、ふざけているのだと思われ、110番通報はされなかった。
午前4時頃、自宅マンションではなく約20メートル北にある民家の駐車場で遺体発見。通報したのは新聞配達員だった。
【深夜のマンションで】
被害者宅は3階建てのマンションで、被害者の住む部屋は1階にある。部屋はカードキー式で、窓から押し入った痕跡は無く、被害者が犯人を招き入れたと考えるのが自然だろう。室内には激しく争った跡があり、財布は残されたが、中身の現金やカードキーが失くなっていた。ただし、室内の物色や現金の抜き取りがどのタイミングで行われたかは確定しない。被害者を殺害してから部屋に戻ってきた可能性もある。
被害者はまず自室で刺されたとみられる。部屋には少量の血痕が残っていた。驚いた被害者は部屋の窓から外へ脱出。当然裸足のまま。部屋から脱出後のルートについても検証されているが、被害者は真っ直ぐ民家に向かったのではなく、マンションを反時計回りにぐるっと一周するようにして逃げてから北方向の民家へ向かったとみられている。
辿り着いた民家の窓ガラスは割られ、被害者の手の甲にも傷があった。どうにかして助かろうと必死だったのだろう。しかし生憎と民家はこのとき留守であった。そして追いかけてきた犯人に心臓を刺され、これが致命傷となった。民家の前から最終的に遺体の発見される駐車場まで、3メートルほど引き摺ったような血痕が残った。犯人が遺体を引き摺ったのか、まだ息のあった被害者が這っていったのかは定かでない。
上記のとおり、被害者は裸足のままだった。服装は裸にブラウスだけ。つまり下着等はつけていなかったということ。乱暴されたような形跡は無かったとされる。犯人が部屋に入る前から下着をつけていなかったのか、犯人が部屋に入った後で下着を脱いだ(そして刃物で刺された)のか。こんなこと特定できないだろうが、被害者と犯人の関係を推測できそうではある。
【推理】
犯人像ははっきりしない。財布から現金が抜き取られていたものの、被害者を部屋の外まで執拗に追いかけていって何度も刺すということは、単なる強盗目的ではなく強い恨みがあったと考えるべきか。カードキー式の部屋で、かつ窓から侵入してきた形跡は無い、とすると被害者自らがドアを開けるほかないだろう。しかも深夜に招き入れるとなれば、顔見知り相手の可能性が高い。上述のとおり、ルームメイトの女性はこの日不在にしていたわけだが、犯人はその事も知っていたのだろうか。
足跡から犯人の靴のサイズは26センチとされている。また、犯人のものと思われる血痕があったという情報もあり、被害者と争う中で犯人も負傷した可能性がある。
捜査の初期のうちには、現場付近に住んでいる手に怪我をした男性(同じマンションの上の階、中国籍とした報道もあった)を事情聴取していると報道された。しかし続報は無し。空振りだったのか、もしくは誤報か。
【謎】
他にも残る謎がある。被害者の車は、マンションの南側(駆け込んだ民家とは反対方向)にある町営駐車場付近に停められていた。しかし被害者は普段であればマンションすぐそばのスペースに駐車していたという。報道によれば、被害者が町営駐車場を利用するのは友人が車で訪れた時だというから、やはり知人・友人による犯行説が有力となる。一方で、キーが付いたままだったという報道もあり、事件後に犯人自らが運転して移動させたという見方もある。そうだとしたら何故そのようなことをしたのか理由は分からない。キーやハンドルから指紋や血痕などは発見されていない模様。
凶器となった刃渡り20センチの文化包丁は、この町営駐車場にあるトイレの裏側に捨てられていた。犯人としては一応隠したつもりだったのだろうか。持ち去ることもできたと思われるが…。報道によれば指紋など犯人に結びつくような痕跡は見つからなかったとされており、犯人としてはそれで十分だと考えたのかもしれない。
【リンク】
那須塩原警察署による情報提供呼びかけページは以下。2020年現在もビラ配りをするなどで情報提供呼びかけを継続している。しかし手配書に載っている情報がすごくアバウトだ。本当に捜査する気があるのだろうか。
http://www.pref.tochigi.lg.jp/keisatu/hanzaisousa/satuzin.html
【出典】
朝日新聞2001年4月14日「女子大学生の?他殺体発見 栃木・西那須野町」
読売新聞2001年4月14日「栃木で女子大生?殺される 未明に悲鳴、刺された跡」
朝日新聞2001年4月15日「未明に「助けて」悲鳴響く 西那須野町で女子大生殺害/栃木」
朝日新聞2001年4月16日「部屋に血痕、争った形跡 栃木の女子大生刺殺」
読売新聞2001年4月16日「西那須野の女子大生殺害 執ように襲った犯人 半年前も侵入男=栃木」
読売新聞2001年4月17日「栃木の女子大生刺殺 現場に26センチ前後の運動靴跡 種類の特定急ぐ」
読売新聞2001年4月17日「西那須野の女子大生殺害 財布の紙幣なくなる バッグの口開いたまま放置=栃木」
朝日新聞2001年4月19日「前田さんの乗用車に血痕 犯人運転し移動か? 女子大生殺人/栃木」
朝日新聞2001年4月21日「西那須野町の女子大生殺害から1週間 顔見知りの男の犯行か/栃木」
読売新聞2001年5月12日「西那須野の女子大生刺殺から1か月 犯人像固まらず、捜査長期化へ=栃木」
朝日新聞2001年5月13日「遺留品少なく、捜査難航 西那須野町・女子大生殺人1ヵ月/栃木」