1991年10月1日、神奈川県横浜市旭区本宿町の野村 香ちゃん（8歳、小学3年生）が自宅を出て一人で書道教室へ向かう途中で行方不明となった。2020年現在も香ちゃんの行方は分かっていない。

【書道教室の日】
　10月1日は雨の強い日だった。香ちゃんは14時30分頃に小学校から帰宅し、続いて香ちゃんの姉（9歳）が帰宅した。姉妹で一緒におやつを食べたりしたという。その後、姉はエレクトーン教室へ行くため15時半頃に家を出る。その時に香ちゃんは部屋で宿題の漢字ドリルをしていたという。これが香ちゃんの最後の目撃情報となった。

　香ちゃんは当日16時～17時に書道教室があった。自宅から書道教室までは約540メートルで、15時50分頃に家を出たと見られる。青と白のチェック傘、ピンクに白の縁取りの入ったゴム長靴、書道の道具が入ったキティーちゃんの赤い手提げバッグは持ち出されていた。

　17時過ぎに母親がパートから帰宅。家の鍵はちゃんとかかっていた。母親は、香ちゃんは11月に書道の展覧会があり、その制作で帰りが遅いのだろうと考えた。その後、スーパーに買い物へ出かけた。

　18時半頃、母親はスーパーから帰ってくるが、香ちゃんはまだ帰っていなかった。書道教室へ電話すると「もう全員帰った」とのこと。そこで同じ書道教室に通う香ちゃんの友だちに電話してみると「今日は来なかった」という。書道教室へ行かず友だちと遊んでいることも考えたが、どこへ電話しても香ちゃんと遊んだ子はいなかった。交通事故の可能性も考え、書道教室への道も探しに行ったが見つからなかった。

　20時半に警察へ通報。以後、警察の捜索が始まるも、有力な目撃情報は全く無い。書道教室までの道は元々人通りが少なく、当日は雨が降っていたこともあって更に人手は少なかったようだ。警察犬による捜索も雨のせいで上手くいかなかった。

【娘を探して】
　時を経て書道教室はクリーニング店に変わった。香ちゃんは小学校の卒業証書をもらい、中学校の教科書も届いた。しかし両親の記憶の中の香ちゃんは8歳のまま。やりかけだった漢字ドリルも残っている。両親は今でも香ちゃんの行方を求めてビラ配り等の活動を続けており、地域住民がそれを支えている。

　旭警察署による情報提供呼びかけページは以下のとおり。
　https://www.police.pref.kanagawa.jp/ps/46ps/46mes/46mesc02.htm

【出典】
　朝日新聞1991年11月8日「小3少女が不明 7日目、神奈川県警が公開捜査 横浜」
　朝日新聞1991年11月8日「「香ちゃん無事でいて…」横浜・旭区の小3少女行方不明」
　TBS1994年放送「福留功男のテレビ公開捜査！」
　朝日新聞1998年10月1日「野村香ちゃん不明から満7年 情報提供呼びかけ 旭署 神奈川」
　NHK2011年12月2日放送「首都圏ネット シリーズ未解決事件 女児行方不明20年 娘を捜し続ける両親」