2017年12月4日午前7時頃、新潟県新発田市豊町の住宅で、この家に住む安藤寅男さん(79歳)と妻の澄子さん(74歳)がベッドの上で血を流して倒れているのが発見された。2人とも頭部に鈍器で殴られたような傷が複数あり、就寝中に外部から侵入した何者かによって殺害されたとみられるが、2022年6月現在も犯人は特定されていない。捜査継続中。

【深夜の襲撃者】
 安藤さん夫婦は長男の妻と孫娘との4人暮らし。長男は近隣で別居中。

 事件の第一発見者は長男の妻と孫娘。いつもは朝早く起床する2人が起きてこないため、住宅1階の寝室を見に行ったところで事件は発覚した。

 司法解剖の結果、2人とも死因は脳挫傷と判明。布団がそのままかかっていることから就寝中に襲撃されてほぼ即死だったとみられる。額から大量の血が流れ、ベッドは血の海になっていた。使われた鈍器は具体的には明らかになっていないが、犯人が外部から持ち込んでそのまま持ち去ったようだ。

 死亡推定時刻は4日の午前0時~午前5時頃。事件発覚時、玄関の鍵は施錠されていなかった。他に侵入経路らしき箇所は無く、鍵をこじ開けた形跡も確認されず、どうやら犯人は開いている玄関から堂々と侵入したらしい。日頃は寅男さんが夜に施錠して翌朝に澄子さんが解錠していたとのことだが、土地柄無締りも珍しくないという。廊下や玄関には血痕が残り、犯人は逃走時も玄関を使ったとみられる。

【犯人像】
 住宅内を物色された形跡は確認されず、眠っている2人の頭部を鈍器で何度も強く殴りつけていることから、夫婦に強い恨みをもっている人物だろう。警察は「1人を殺害して気づかれてもう1人を殺害したのではなく、2人共に殺そうとしていた」と推察している。2人の遺体の傷のつき方はほぼ同じであり、単独犯とみられる

 また、宅内の照明をつけることなく犯行におよんだとみられ、暗闇の中で長男の妻と孫娘が眠る2階には向かわず老夫婦の眠る1階寝室に真っ直ぐ向かったということは、住宅内の間取りもある程度知っていたはずである。老夫婦とは近い関係、すなわち顔見知りの可能性が高まる。

【その他の事件】
 在宅中に高齢者が襲撃された事件。いずれも未解決。
つくば市高齢夫婦殺害事件(2017年)
 【出典】
 朝日新聞2017年12月5日「70代夫婦、寝室で殺害か 新潟」
 朝日新聞2017年12月5日「新発田の70代夫婦殺害 静かな住宅街、不安の声 県警が捜査本部」
 産経新聞2017年12月5日「頭部に殴られた?傷 新潟で高齢夫婦死亡」
 毎日新聞2017年12月5日「殺人:70代夫婦殺害か 自宅寝室、頭から流血 新潟」
 読売新聞2017年12月5日「頭から血 70代夫婦死亡 新潟・新発田 殺人容疑で捜査」
 読売新聞2017年12月5日「新発田夫婦殺害 就寝中に襲われたか 住民ら「信じられない」」
 朝日新聞2017年12月6日「頭を複数回殴打か 恨みの可能性 新発田の夫婦殺害」
 読売新聞2017年12月6日「新発田夫婦殺害 遺体発見前に物音 通学路で見守り始まる」
 読売新聞2017年12月7日「親族ら 早期解決願う 新発田夫婦殺害」
 朝日新聞2017年12月8日「玄関・廊下に血痕 犯人逃走経路か 新発田の夫婦殺害」
 読売新聞2017年12月8日「新発田夫婦殺害 廊下、玄関に血痕」
 朝日新聞2017年12月9日「4日未明殺害か 新発田の事件で県警」
 朝日新聞2017年12月12日「強い殺意、計画的な犯行か 新発田の夫婦殺害、発覚から1週間」
 読売新聞2017年12月12日「新発田夫婦殺害「明確な殺意」怨恨か 遺体発見1週間」
 読売新聞2018年12月4日「夫婦殺害 捜査難航 新発田の事件1年 遺族「今もつらい」」
 読売新聞2019年12月4日「犯人 屋内に詳しい人物か 新発田 夫婦殺害きょう2年」