1988年9月9日午後15時半頃、東京都江戸川区の東京都下水道局篠崎ポンプ所で、地下2階の汚水を貯める水槽に女性の切断死体が浮いているのを職員が発見し、警察へ通報した。
【沈砂池に浮かぶ】
死体が発見されたのはポンプ所内の水深2メートルの沈砂池(ちんさち)。下水管から運ばれた汚水を鉄柵に通して大きなゴミを取り除きつつ土砂などを沈殿させる役割をもつ。池にゴミが一定量溜まると回収して処分する。なお、同じ沈砂池はポンプ所内に6つあり、死体が見つかったのは四号沈砂池。
9月8日夕方に勤務していた職員は、切断された上半身が沈砂池に浮かんでいるのを既に見つけていたが、まさかバラバラ死体とは思わず壊れたマネキンだと思っていたという。そこで翌日に引き上げるよう申し送りをし、9日に勤務した職員がホッパーで引き上げたことによって人間の死体と分かった。
【被害者は何者か】
死体は17〜30歳位の女性で、身長は160センチ位、血液型はA型。年齢について、東京歯科大学の鈴木和男教授の鑑定では19〜21歳位で、19歳の可能性が高いとしている。復顔法では、面長(いわゆるうりざね顔)で、鼻は高く、目も大きいとされた。衣類は身につけておらず、髪の毛は抜け落ちていた。
特徴的なのは上下の奥歯5本ずつの虫歯の治療痕。警察もこれを重要視して歯科医が参加する大きな会合に出向くなど情報提供を呼びかけたが、結局身元の特定には繋がらなかった。他に、手の爪はマニュキアをしていて、両耳たぶにはピアスの穴有り。脇毛は剃っていた。
警察の調べでは死後2〜3週間。肋骨の下の肉を鋭い刃物で切られた後、第2腰椎の骨を切断されたもの。切断面からノコギリを使ったとみられている。生活反応がないため死後に切断された模様。しかし腐乱が激しく死因は特定できなかった。
【捜査】
ポンプ所の入場門は開放されていたとはいえ、建物内部は職員のみ立ち入ることができるため、バラバラ死体は付近のU字溝やマンホールなどから下水道に投げ込まれて流れ着いたとみるのが自然だろう。なお、篠崎ポンプ所に通じるのは江戸川区、葛飾区一体のマンホールである。9月5日には沈砂池に溜まったゴミを処分していたため、流れ着いたのはそれ以降と考えられる。
9月12日、江東区青梅の東京都下水道局ミキシングプラントの焼却設備で、ゴミの受け入れ口に人間の右足(左足とした報道もあった)があるのを職員が発見した。見つかったのはももから下の部分で、やはりノコギリで切断された様子。篠崎ポンプ所のバラバラ死体との関連が指摘されたが続報は無い。
【その後】
結局、死体を切断・遺棄した犯人はおろか、被害者の身元も特定できないまま刑事事件としての公訴時効を迎えた。迷宮入り事件。警視庁の身元不明相談室にもデータが掲載されて情報提供が呼びかけられていたが、現在では削除されている。
2002年3月、同じ篠崎ポンプ所で、敷地内に防犯灯のついたタクシーが停まっていると通報があり、警察が駆けつけたところトランク内から運転手(54歳)の刺殺体が発見された。売上金を狙った強盗殺人事件であるが、犯人は2022年現在も特定されていない。それまで常時開放されていた入場門は、この2件目の事件の後封鎖されて部外者の出入りはできなくなっている。
【リンク】
本事件のバラバラ死体に関する警視庁身元不明相談室のアーカイブはこちら
2002年に発生したタクシー強盗事件の情報提供呼びかけページは以下。
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/jiken_jiko/ichiran/ichiran_11-20/komatsugawa.html
【出典】
朝日新聞1988年9月10日「女性の切断遺体浮く 下水ポンプ所に上半身 東京・江戸川」
中日新聞1988年9月10日「女性のバラバラ死体浮く 20〜40歳上半身だけ 東京の下水ポンプ所」
毎日新聞1988年9月10日「下水ポンプ所汚水池に上半身死体 東京江戸川区」
読売新聞1988年9月10日「女性バラバラ殺人 東京・江戸川のポンプ所に裸の上半身」
朝日新聞1988年9月11日「ノコギリ使った?東京・江戸川のバラバラ事件」
読売新聞1988年9月11日「バラバラ死体は20代/東京・江戸川の下水道ポンプ所」
朝日新聞1988年9月13日「焼却場で右足発見 切断死体事件と関連?東京・江東区」
毎日新聞1988年9月13日「江戸川区のバラバラ女性死体事件被害者はA型 左足も発見?」
読売新聞1988年9月13日「東京・江戸川の女性バラバラ死体 左足も見つかる」
朝日新聞1988年10月30日「被害者の似顔絵発表 江戸川のバラバラ死体」
【沈砂池に浮かぶ】
死体が発見されたのはポンプ所内の水深2メートルの沈砂池(ちんさち)。下水管から運ばれた汚水を鉄柵に通して大きなゴミを取り除きつつ土砂などを沈殿させる役割をもつ。池にゴミが一定量溜まると回収して処分する。なお、同じ沈砂池はポンプ所内に6つあり、死体が見つかったのは四号沈砂池。
9月8日夕方に勤務していた職員は、切断された上半身が沈砂池に浮かんでいるのを既に見つけていたが、まさかバラバラ死体とは思わず壊れたマネキンだと思っていたという。そこで翌日に引き上げるよう申し送りをし、9日に勤務した職員がホッパーで引き上げたことによって人間の死体と分かった。
【被害者は何者か】
死体は17〜30歳位の女性で、身長は160センチ位、血液型はA型。年齢について、東京歯科大学の鈴木和男教授の鑑定では19〜21歳位で、19歳の可能性が高いとしている。復顔法では、面長(いわゆるうりざね顔)で、鼻は高く、目も大きいとされた。衣類は身につけておらず、髪の毛は抜け落ちていた。
特徴的なのは上下の奥歯5本ずつの虫歯の治療痕。警察もこれを重要視して歯科医が参加する大きな会合に出向くなど情報提供を呼びかけたが、結局身元の特定には繋がらなかった。他に、手の爪はマニュキアをしていて、両耳たぶにはピアスの穴有り。脇毛は剃っていた。
警察の調べでは死後2〜3週間。肋骨の下の肉を鋭い刃物で切られた後、第2腰椎の骨を切断されたもの。切断面からノコギリを使ったとみられている。生活反応がないため死後に切断された模様。しかし腐乱が激しく死因は特定できなかった。
【捜査】
ポンプ所の入場門は開放されていたとはいえ、建物内部は職員のみ立ち入ることができるため、バラバラ死体は付近のU字溝やマンホールなどから下水道に投げ込まれて流れ着いたとみるのが自然だろう。なお、篠崎ポンプ所に通じるのは江戸川区、葛飾区一体のマンホールである。9月5日には沈砂池に溜まったゴミを処分していたため、流れ着いたのはそれ以降と考えられる。
9月12日、江東区青梅の東京都下水道局ミキシングプラントの焼却設備で、ゴミの受け入れ口に人間の右足(左足とした報道もあった)があるのを職員が発見した。見つかったのはももから下の部分で、やはりノコギリで切断された様子。篠崎ポンプ所のバラバラ死体との関連が指摘されたが続報は無い。
【その後】
結局、死体を切断・遺棄した犯人はおろか、被害者の身元も特定できないまま刑事事件としての公訴時効を迎えた。迷宮入り事件。警視庁の身元不明相談室にもデータが掲載されて情報提供が呼びかけられていたが、現在では削除されている。
2002年3月、同じ篠崎ポンプ所で、敷地内に防犯灯のついたタクシーが停まっていると通報があり、警察が駆けつけたところトランク内から運転手(54歳)の刺殺体が発見された。売上金を狙った強盗殺人事件であるが、犯人は2022年現在も特定されていない。それまで常時開放されていた入場門は、この2件目の事件の後封鎖されて部外者の出入りはできなくなっている。
【リンク】
本事件のバラバラ死体に関する警視庁身元不明相談室のアーカイブはこちら
2002年に発生したタクシー強盗事件の情報提供呼びかけページは以下。
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/jiken_jiko/ichiran/ichiran_11-20/komatsugawa.html
【出典】
朝日新聞1988年9月10日「女性の切断遺体浮く 下水ポンプ所に上半身 東京・江戸川」
中日新聞1988年9月10日「女性のバラバラ死体浮く 20〜40歳上半身だけ 東京の下水ポンプ所」
毎日新聞1988年9月10日「下水ポンプ所汚水池に上半身死体 東京江戸川区」
読売新聞1988年9月10日「女性バラバラ殺人 東京・江戸川のポンプ所に裸の上半身」
朝日新聞1988年9月11日「ノコギリ使った?東京・江戸川のバラバラ事件」
読売新聞1988年9月11日「バラバラ死体は20代/東京・江戸川の下水道ポンプ所」
朝日新聞1988年9月13日「焼却場で右足発見 切断死体事件と関連?東京・江東区」
毎日新聞1988年9月13日「江戸川区のバラバラ女性死体事件被害者はA型 左足も発見?」
読売新聞1988年9月13日「東京・江戸川の女性バラバラ死体 左足も見つかる」
朝日新聞1988年10月30日「被害者の似顔絵発表 江戸川のバラバラ死体」