【血の正月】
2018年1月1日午後16時40分頃、茨城県つくば市東平塚の民家にて、この家に住む高齢夫婦が倒れていると110番通報があった。駆けつけた警察官は夫婦が共に死亡していることを確認。夫は後頭部を中心に数ヶ所、妻は顔面から後頭部にかけて数十ヶ所、鈍器のようなもので殴られた跡があり、司法解剖の結果、頭部などの挫創による失血死と判明した。夫は右腕の骨も折れていた。
茨城県警は殺人事件と断定して捜査を開始する。しかし2022年2月現在も犯人は特定されていない。捜査継続中。
【空白の12時間】
亡くなったのは小林孝一さん(77歳)と揚子さん(67歳)。揚子さんは’17年12月30日午後18時頃に娘と電話で話していることが確認されている。また、自家用車のドライブレコーダーには、同日午後19時半頃に2人でスーパーへ買い物に行った様子が記録されていた。
しかし31日の午前7時頃に揚子さんの友人が訪れた際は応答が無く、ケータイには午前8時以降の不在着信が残っていた。以上より、夫婦は30日夜20時〜31日朝8時にかけての約12時間のうちに襲撃されたと推察できる。
遺体は共に寝巻き姿。孝一さんは2階の和室にうつ伏せ姿で、揚子さんは2階の廊下に仰向けに倒れていたという。2人の腕には防御創とみられる痕もあったとのこと。夜半に不審者に襲撃され、慌てて逃げ出す中で2人が別々の場所で倒れたのだろうか。若しくは早朝に起床した後で襲撃された可能性もありそうだ。
一方で事件発覚当初には、近隣住民による「31日午後22時頃に小林さん宅の2階照明がついていた」という証言が報じられている。犯人が夫婦殺害後も一日中現場に留まっていたとは考え難いが、果たして…。
【犯行目的は】
1月1日、遺体の第一発見者となる小林さんの親族が訪れた際に玄関の鍵はかかっていた。一方で2階のベランダの窓が無施錠で、犯人はここから侵入したとみられている。ベランダの手すりには夫婦の血痕が付着し、1階の窓は格子がかけられていて人の身体は通らないため、夫婦殺害後の逃走時にもやはり同じベランダを通ったようである。犯人が若いかどうかまでは分からないが、ある程度の身体能力はあったのだろう。
室内に荒らされたような跡は無かった。また、夫婦共に鈍器で執拗に殴打された様子から怨恨による犯行という見方が有力だ。夫婦は現場となった民家でかつてカラオケ店や居酒屋を経営していたことがあり、交友関係は広いという。
だが、怨恨とハッキリ定まったわけでは無い。県警としては物取りの線も捨てていないとのこと。結局のところ、他の多くの未解決事件と同様に犯行目的が不明瞭なことで捜査が難航してしまっている。
【狙われる家屋】
2018年9月20日、茨城県警は、空き家となった小林さん宅から貴金属を盗んだとして、無職・内川誠(47歳)、無職・伊藤幸子(43歳)、住所不定・浅海博章(46歳)の3人を窃盗と住居侵入の容疑で逮捕したと発表した。
現場は事件発覚後から規制線が張られていたが、4月30日につくば中央署員が窓ガラスが割られているのを発見。内部を確認したところ、指輪やネックレスなど52点(約820万円相当)を盗まれたことが分かり、捜査を進めていたという。ただし3容疑者は夫婦殺害事件との関連は薄いとされている。
2021年12月25日午後19時45分頃、現場民家から火が出ていると近隣住民が119番通報した。火は約1時間後に消し止められたが、外壁など一部が焼けた。既に電気などが止められて火の気が無いことから放火の可能性も指摘される。
【リンク】
茨城県警による情報提供呼びかけページはこちら。
2022年2月現在遺族による私的懸賞金100万円がかけられている。
【茨城県警管轄の未解決事件】
・坂東市女子高生殺害事件(2004年)
・五霞町女子高生殺害・死体遺棄事件(2003年)
・小川町 大高保さん失踪事件(2001年)*所在不明事案
・牛久市17歳少年リンチ殺害事件(2000年)
・筑波大学女子学生殺害事件(1999年)
【出典】
朝日新聞2018年1月3日「高齢夫婦死亡、頭に傷 室内荒らされた跡なし つくば」
産経新聞2018年1月3日「住宅に高齢夫婦遺体 頭部に外傷、殺害か 茨城」
毎日新聞2018年1月3日「高齢夫婦死亡:自宅で 玄関は施錠、頭部に外傷 茨城」
読売新聞2018年1月3日「頭部に外傷 老夫婦死亡 つくば」
読売新聞2018年1月3日「「2人とも元気だったのに」つくば夫婦死亡 住民ら心痛」
朝日新聞2018年1月5日「夫婦死亡、殺人と断定 県警が捜査本部設置 つくば」
朝日新聞2018年1月5日「殴打の痕、十数カ所 妻、顔や後頭部に 夫婦殺害/茨城県」
産経新聞2018年1月5日「茨城の夫婦死亡、殺人事件で捜査」
毎日新聞2018年1月5日「茨城・つくばの夫婦死亡:殺人事件で捜査 県警」
読売新聞2018年1月5日「高齢夫婦 自宅で殺害 茨城 鈍器で頭部殴打か」
読売新聞2018年1月5日「つくば殺害 仲の良い夫婦 なぜ 発見2日前、娘と電話=茨城」
読売新聞2018年1月6日「夫婦殺害 携帯電話解析急ぐ つくば 犯行時間帯絞り込みへ=茨城」
読売新聞2018年1月8日「夫婦殺害 強い殺意か 遺体発見1週間 十数か所に傷 つくば=茨城」
朝日新聞2018年1月12日「有力情報は乏しく つくば夫婦殺人事件、発生から10日/茨城県」
読売新聞2018年1月31日「夫婦殺害 31日朝から不在着信 つくば 携帯電話を解析=茨城」
朝日新聞2018年9月21日「殺人現場の空き家で窃盗の疑い/茨城県」
読売新聞2018年9月21日「殺人現場から貴金属盗む つくば 容疑の3人を逮捕=茨城」
読売新聞2018年12月26日「つくば夫婦殺害1年 ベランダから逃走か」
朝日新聞2018年12月31日「手がかり乏しく捜査難航 つくば高齢夫婦殺害から1年/茨城県」
朝日新聞2021年1月25日「遺族ら団体、捜査難航で懸賞金100万円 つくば高齢夫婦殺害から3年/茨城県」
読売新聞2021年1月15日「夫婦殺害 情報提供を つくば 遺族らが懸賞金=茨城」
産経新聞2021年12月28日「【許さない 未解決事件のいま】(3)茨城・つくば市高齢夫婦殺人事件 」
2018年1月1日午後16時40分頃、茨城県つくば市東平塚の民家にて、この家に住む高齢夫婦が倒れていると110番通報があった。駆けつけた警察官は夫婦が共に死亡していることを確認。夫は後頭部を中心に数ヶ所、妻は顔面から後頭部にかけて数十ヶ所、鈍器のようなもので殴られた跡があり、司法解剖の結果、頭部などの挫創による失血死と判明した。夫は右腕の骨も折れていた。
茨城県警は殺人事件と断定して捜査を開始する。しかし2022年2月現在も犯人は特定されていない。捜査継続中。
【空白の12時間】
亡くなったのは小林孝一さん(77歳)と揚子さん(67歳)。揚子さんは’17年12月30日午後18時頃に娘と電話で話していることが確認されている。また、自家用車のドライブレコーダーには、同日午後19時半頃に2人でスーパーへ買い物に行った様子が記録されていた。
しかし31日の午前7時頃に揚子さんの友人が訪れた際は応答が無く、ケータイには午前8時以降の不在着信が残っていた。以上より、夫婦は30日夜20時〜31日朝8時にかけての約12時間のうちに襲撃されたと推察できる。
遺体は共に寝巻き姿。孝一さんは2階の和室にうつ伏せ姿で、揚子さんは2階の廊下に仰向けに倒れていたという。2人の腕には防御創とみられる痕もあったとのこと。夜半に不審者に襲撃され、慌てて逃げ出す中で2人が別々の場所で倒れたのだろうか。若しくは早朝に起床した後で襲撃された可能性もありそうだ。
一方で事件発覚当初には、近隣住民による「31日午後22時頃に小林さん宅の2階照明がついていた」という証言が報じられている。犯人が夫婦殺害後も一日中現場に留まっていたとは考え難いが、果たして…。
【犯行目的は】
1月1日、遺体の第一発見者となる小林さんの親族が訪れた際に玄関の鍵はかかっていた。一方で2階のベランダの窓が無施錠で、犯人はここから侵入したとみられている。ベランダの手すりには夫婦の血痕が付着し、1階の窓は格子がかけられていて人の身体は通らないため、夫婦殺害後の逃走時にもやはり同じベランダを通ったようである。犯人が若いかどうかまでは分からないが、ある程度の身体能力はあったのだろう。
室内に荒らされたような跡は無かった。また、夫婦共に鈍器で執拗に殴打された様子から怨恨による犯行という見方が有力だ。夫婦は現場となった民家でかつてカラオケ店や居酒屋を経営していたことがあり、交友関係は広いという。
だが、怨恨とハッキリ定まったわけでは無い。県警としては物取りの線も捨てていないとのこと。結局のところ、他の多くの未解決事件と同様に犯行目的が不明瞭なことで捜査が難航してしまっている。
【狙われる家屋】
2018年9月20日、茨城県警は、空き家となった小林さん宅から貴金属を盗んだとして、無職・内川誠(47歳)、無職・伊藤幸子(43歳)、住所不定・浅海博章(46歳)の3人を窃盗と住居侵入の容疑で逮捕したと発表した。
現場は事件発覚後から規制線が張られていたが、4月30日につくば中央署員が窓ガラスが割られているのを発見。内部を確認したところ、指輪やネックレスなど52点(約820万円相当)を盗まれたことが分かり、捜査を進めていたという。ただし3容疑者は夫婦殺害事件との関連は薄いとされている。
2021年12月25日午後19時45分頃、現場民家から火が出ていると近隣住民が119番通報した。火は約1時間後に消し止められたが、外壁など一部が焼けた。既に電気などが止められて火の気が無いことから放火の可能性も指摘される。
【リンク】
茨城県警による情報提供呼びかけページはこちら。
2022年2月現在遺族による私的懸賞金100万円がかけられている。
【茨城県警管轄の未解決事件】
・坂東市女子高生殺害事件(2004年)
・五霞町女子高生殺害・死体遺棄事件(2003年)
・小川町 大高保さん失踪事件(2001年)*所在不明事案
・牛久市17歳少年リンチ殺害事件(2000年)
・筑波大学女子学生殺害事件(1999年)
【出典】
朝日新聞2018年1月3日「高齢夫婦死亡、頭に傷 室内荒らされた跡なし つくば」
産経新聞2018年1月3日「住宅に高齢夫婦遺体 頭部に外傷、殺害か 茨城」
毎日新聞2018年1月3日「高齢夫婦死亡:自宅で 玄関は施錠、頭部に外傷 茨城」
読売新聞2018年1月3日「頭部に外傷 老夫婦死亡 つくば」
読売新聞2018年1月3日「「2人とも元気だったのに」つくば夫婦死亡 住民ら心痛」
朝日新聞2018年1月5日「夫婦死亡、殺人と断定 県警が捜査本部設置 つくば」
朝日新聞2018年1月5日「殴打の痕、十数カ所 妻、顔や後頭部に 夫婦殺害/茨城県」
産経新聞2018年1月5日「茨城の夫婦死亡、殺人事件で捜査」
毎日新聞2018年1月5日「茨城・つくばの夫婦死亡:殺人事件で捜査 県警」
読売新聞2018年1月5日「高齢夫婦 自宅で殺害 茨城 鈍器で頭部殴打か」
読売新聞2018年1月5日「つくば殺害 仲の良い夫婦 なぜ 発見2日前、娘と電話=茨城」
読売新聞2018年1月6日「夫婦殺害 携帯電話解析急ぐ つくば 犯行時間帯絞り込みへ=茨城」
読売新聞2018年1月8日「夫婦殺害 強い殺意か 遺体発見1週間 十数か所に傷 つくば=茨城」
朝日新聞2018年1月12日「有力情報は乏しく つくば夫婦殺人事件、発生から10日/茨城県」
読売新聞2018年1月31日「夫婦殺害 31日朝から不在着信 つくば 携帯電話を解析=茨城」
朝日新聞2018年9月21日「殺人現場の空き家で窃盗の疑い/茨城県」
読売新聞2018年9月21日「殺人現場から貴金属盗む つくば 容疑の3人を逮捕=茨城」
読売新聞2018年12月26日「つくば夫婦殺害1年 ベランダから逃走か」
朝日新聞2018年12月31日「手がかり乏しく捜査難航 つくば高齢夫婦殺害から1年/茨城県」
朝日新聞2021年1月25日「遺族ら団体、捜査難航で懸賞金100万円 つくば高齢夫婦殺害から3年/茨城県」
読売新聞2021年1月15日「夫婦殺害 情報提供を つくば 遺族らが懸賞金=茨城」
産経新聞2021年12月28日「【許さない 未解決事件のいま】(3)茨城・つくば市高齢夫婦殺人事件 」