2002年4月8日午前6時55分頃、福井県鯖江市上戸口町にある空き地で、女性が顔と頭を激しく焼かれて死亡しているのを近隣住人が発見した。
警察の調べにより、亡くなった女性は今立町に住む鎌谷香央里さん(28歳)と判明。警察は殺人事件として捜査を開始するが、2021年9月現在も犯人は特定できていない。捜査継続中。
【主婦は誰に会いに行ったのか】
香央里さんは夫と子ども2人の4人暮らし。4月7日午後22時過ぎ、浴室でシャワーを浴びている夫に対して「友だちが待っているので出かけてくる」と言い残して突然家を出た。そして何の連絡も無いまま約9時間後に無残な姿で発見されたわけである。
香央里さんと当日会った、若しくは会う約束をしていた"友だち"が自ら名乗り出ていないということは、つまりこの"友だち"こそが殺人犯とみていいだろう。だが、警察が捜査をしても、それが何者なのか特定できていない。夫にも心当たりはない。幼い子ども2人を愛していた彼女が、相手が誰であれ夜間に一人で出かけようとすること自体が不可解であった。
香央里さんはジャージ姿で出かけており、会いに行った"友だち"とは親しい間柄であったと想像される。また、財布を持たずに出かけたため、食事などはせずに短時間で戻るつもりだったと思われる。
遺体発見現場は自宅から約5.5キロ離れている。そして香央里さんは自家用車を使わずに家を出た。となれば、"友だち"は車で迎えに来た可能性が高い。午前0時過ぎに遺体遺棄現場で高さ1メートルくらいの炎を見たという情報も複数寄せられているといい、外出してから早いうちに殺害され、現場で遺体を焼かれたと考えられる。
最大の証拠品となり得るのは彼女のケータイであるが、これは犯人によって持ち去られた模様。午前0時20分過ぎに友人が電話したところ、既に電話は繋がらなくなっていたとされる。電源が切られたか、電波の届かない状態にあったか。上記のとおり、0時過ぎに既に殺害されて火を付けられたとの見方とも辻褄は合う。
【遺体の不審点と犯人像】
司法解剖の結果、香央里さんの死因は首を絞められたことによる窒息死と判明した。つまり、死後に頭部を焼かれたということになる。何故そんなことをしたのか。身元特定を遅らせたい意図があったのか。そうだとしたら全身を焼くことを考えそうなものだが、顔以外の箇所から油や燃料などの痕跡は確認されなかったという。あるいは犯人の恨みや怒りの現れなのかもしれない。
遺体の焼かれた現場空き地は、民家に挟まれていて、交通量も比較的多い。こんな目立つ場所で火をつけたのは、単に犯人の気が動転していたからかもしれないが、現場に土地勘がなかったという推理もされている。一方で、現場周辺で灯油などが奪われたという通報はなく、燃料は犯人があらかじめ用意していたとみられる。計画的犯行なのか、突発的な犯行なのか、どうもハッキリしない。
【捜査】
香央里さんは、京都にある専門学校を卒業後、大阪、和歌山、石川のホテルで働いてきた。故に福井県外にも"接点のある人物"がかなり多くいるとみられる。福井県警は県外在住の50人近くに事情を聞いたというが、まだまだ足りていないのではないか。他府県警との連携も強化すべき(だった)だろう。
そもそも、この種の未解決殺人事件は、どこの県警も自らのサイトに特設ページを設け情報提供を呼びかけているものだ。だが、福井県警のサイトにそのようなページは見受けられない。やる気あるのか?2010年の刑事訴訟法改正により殺人事件の公訴時効は撤廃されたが、肝心の県警がこんな状態ではいつまで経っても事件は解決しないだろう。
【リンク】
特設ページではないが、福井県警のトップページを貼っておく。2000年頃で時が止まっているかのようなデザインだ。
https://www.pref.fukui.lg.jp/kenkei/
【出典】
朝日新聞2002年4月9日「空き地に女性社員の焼死体、殺害か 福井・鯖江市」
産経新聞2002年4月9日「空き地に主婦の他殺体 福井・鯖江顔焼かれ、前夜に外出」
中日新聞2002年4月9日「頭など焼かれ 女性の他殺体 鯖江の空き地」
毎日新聞2002年4月9日「福井・鯖江で女性殺害される 今立町の28歳会社員」
読売新聞2002年4月9日「28歳の女性社員殺される 空き地で発見 頭部に焼かれた跡/福井・鯖江」
読売新聞2002年4月9日「福井・鯖江の殺人事件 女性の携帯電話なくなる 通話記録隠ぺい、処分か」
朝日新聞2002年4月10日「携帯電話など捜索 殺害後焼いた可能性 鯖江の女性殺害事件/福井」
中日新聞2002年4月10日「絞殺後に焼かれる? 鯖江の女性遺体」
読売新聞2002年4月11日「鯖江の殺人 灯油かけ焼かれる?「炎みた」の証言 空き地で成分検出=福井」
中日新聞2002年4月14日「鯖江の女性殺人から1週間 携帯通話記録を分析 関西で交友関係を調査」
読売新聞2002年4月14日「鯖江の殺人1週間 鎌谷さんの足取り不明 携帯電話の通信記録など捜査=福井」
朝日新聞2002年4月16日「有力な手がかりなく、交友関係など捜査 鯖江の女性殺人 /福井」
読売新聞2002年4月18日「福井の女性殺人 凶器の特定が難航/トラブル情報なく 捜査本部、携帯記録追う」
中日新聞2002年5月8日「鯖江の女性殺人から1カ月 物証少なく捜査難航」
読売新聞2002年5月9日「鯖江の女性殺人1か月 有力手がかりなし 捜査本部、交友関係解明重点に=福井」
中日新聞2012年4月8日「鯖江の女性殺害 きょう10年 進まぬ捜査 苦しむ遺族」
警察の調べにより、亡くなった女性は今立町に住む鎌谷香央里さん(28歳)と判明。警察は殺人事件として捜査を開始するが、2021年9月現在も犯人は特定できていない。捜査継続中。
【主婦は誰に会いに行ったのか】
香央里さんは夫と子ども2人の4人暮らし。4月7日午後22時過ぎ、浴室でシャワーを浴びている夫に対して「友だちが待っているので出かけてくる」と言い残して突然家を出た。そして何の連絡も無いまま約9時間後に無残な姿で発見されたわけである。
香央里さんと当日会った、若しくは会う約束をしていた"友だち"が自ら名乗り出ていないということは、つまりこの"友だち"こそが殺人犯とみていいだろう。だが、警察が捜査をしても、それが何者なのか特定できていない。夫にも心当たりはない。幼い子ども2人を愛していた彼女が、相手が誰であれ夜間に一人で出かけようとすること自体が不可解であった。
香央里さんはジャージ姿で出かけており、会いに行った"友だち"とは親しい間柄であったと想像される。また、財布を持たずに出かけたため、食事などはせずに短時間で戻るつもりだったと思われる。
遺体発見現場は自宅から約5.5キロ離れている。そして香央里さんは自家用車を使わずに家を出た。となれば、"友だち"は車で迎えに来た可能性が高い。午前0時過ぎに遺体遺棄現場で高さ1メートルくらいの炎を見たという情報も複数寄せられているといい、外出してから早いうちに殺害され、現場で遺体を焼かれたと考えられる。
最大の証拠品となり得るのは彼女のケータイであるが、これは犯人によって持ち去られた模様。午前0時20分過ぎに友人が電話したところ、既に電話は繋がらなくなっていたとされる。電源が切られたか、電波の届かない状態にあったか。上記のとおり、0時過ぎに既に殺害されて火を付けられたとの見方とも辻褄は合う。
【遺体の不審点と犯人像】
司法解剖の結果、香央里さんの死因は首を絞められたことによる窒息死と判明した。つまり、死後に頭部を焼かれたということになる。何故そんなことをしたのか。身元特定を遅らせたい意図があったのか。そうだとしたら全身を焼くことを考えそうなものだが、顔以外の箇所から油や燃料などの痕跡は確認されなかったという。あるいは犯人の恨みや怒りの現れなのかもしれない。
遺体の焼かれた現場空き地は、民家に挟まれていて、交通量も比較的多い。こんな目立つ場所で火をつけたのは、単に犯人の気が動転していたからかもしれないが、現場に土地勘がなかったという推理もされている。一方で、現場周辺で灯油などが奪われたという通報はなく、燃料は犯人があらかじめ用意していたとみられる。計画的犯行なのか、突発的な犯行なのか、どうもハッキリしない。
【捜査】
香央里さんは、京都にある専門学校を卒業後、大阪、和歌山、石川のホテルで働いてきた。故に福井県外にも"接点のある人物"がかなり多くいるとみられる。福井県警は県外在住の50人近くに事情を聞いたというが、まだまだ足りていないのではないか。他府県警との連携も強化すべき(だった)だろう。
そもそも、この種の未解決殺人事件は、どこの県警も自らのサイトに特設ページを設け情報提供を呼びかけているものだ。だが、福井県警のサイトにそのようなページは見受けられない。やる気あるのか?2010年の刑事訴訟法改正により殺人事件の公訴時効は撤廃されたが、肝心の県警がこんな状態ではいつまで経っても事件は解決しないだろう。
【リンク】
特設ページではないが、福井県警のトップページを貼っておく。2000年頃で時が止まっているかのようなデザインだ。
https://www.pref.fukui.lg.jp/kenkei/
【出典】
朝日新聞2002年4月9日「空き地に女性社員の焼死体、殺害か 福井・鯖江市」
産経新聞2002年4月9日「空き地に主婦の他殺体 福井・鯖江顔焼かれ、前夜に外出」
中日新聞2002年4月9日「頭など焼かれ 女性の他殺体 鯖江の空き地」
毎日新聞2002年4月9日「福井・鯖江で女性殺害される 今立町の28歳会社員」
読売新聞2002年4月9日「28歳の女性社員殺される 空き地で発見 頭部に焼かれた跡/福井・鯖江」
読売新聞2002年4月9日「福井・鯖江の殺人事件 女性の携帯電話なくなる 通話記録隠ぺい、処分か」
朝日新聞2002年4月10日「携帯電話など捜索 殺害後焼いた可能性 鯖江の女性殺害事件/福井」
中日新聞2002年4月10日「絞殺後に焼かれる? 鯖江の女性遺体」
読売新聞2002年4月11日「鯖江の殺人 灯油かけ焼かれる?「炎みた」の証言 空き地で成分検出=福井」
中日新聞2002年4月14日「鯖江の女性殺人から1週間 携帯通話記録を分析 関西で交友関係を調査」
読売新聞2002年4月14日「鯖江の殺人1週間 鎌谷さんの足取り不明 携帯電話の通信記録など捜査=福井」
朝日新聞2002年4月16日「有力な手がかりなく、交友関係など捜査 鯖江の女性殺人 /福井」
読売新聞2002年4月18日「福井の女性殺人 凶器の特定が難航/トラブル情報なく 捜査本部、携帯記録追う」
中日新聞2002年5月8日「鯖江の女性殺人から1カ月 物証少なく捜査難航」
読売新聞2002年5月9日「鯖江の女性殺人1か月 有力手がかりなし 捜査本部、交友関係解明重点に=福井」
中日新聞2012年4月8日「鯖江の女性殺害 きょう10年 進まぬ捜査 苦しむ遺族」