2004年6月20日午前6時50分頃、茨城県岩井市長須の農道脇で、若い女性がうつぶせのまま倒れているのを車で通りがかった男性が発見した。女性は意識不明の状態で病院に運ばれたが7時間半後に死亡。警察の調べにより、亡くなったのは猿島町に住む高校1年生の平田恵里奈さん(16歳)と判明した。
平田さんは何者かによって首を絞められ殺害されたとみられるが、2021年8月現在も犯人は特定できていない。捜査継続中。
※岩井市、猿島町は2005年3月に合併され坂東市となりました。本記事タイトルも茨城県警の表記に倣って坂東市としています。
【事件当夜のタイムライン】
2004年6月20日午前0時〜1時半頃、平田さんは岩井市内のファミリーレストランで同年代の女友達と食事。所持していたレシートから立証済み。店員の証言によれば、2人とも落ち着いていて時間を潰しているようだった。
午前3時30分〜午前5時頃、ファミレス向かいのコンビニで一人過ごす。おにぎり、缶コーヒー、そしてナイフやペンチやライトとして使えるキーホルダー式のミニ工具を購入。その後は、店を何度か出入りしつつ、何者かとメールで頻繁にやり取りをしていたが、やがて床に座り出して雑誌を読み始めたため店員によって退店させられる。防犯カメラ映像から立証済み。
なお、ファミレスを出てからコンビニに入るまでの空白の時間帯についてはハッキリしていない。近所の公園で友人と遊んでいた、待ち合わせをしていたが相手が来なかった、などといった情報が伝えられている。
午前5時45分頃、若い女性から「財布をすられたみたい。」と110番通報がある。署員が居場所などを尋ねると、女性は「岩井市に住んでいて、今はコンビニの前にいる」などと答えた。数分後に2度目の通報。今度は別の署員が応対したが、スリの相手について「見覚えのある人」などと話し、特段緊迫した様子はなかったという。48分頃には3度目の通報があり、署員は堺警察署に来るよう伝えて電話を切った。女性は自ら名乗っていないが、記録された電話番号からして平田さん本人と見做されている
110番通報した頃、1軒目のコンビニから600メートルほど離れた2軒目のコンビニに立ち寄る。通報をした際に話した「コンビニの前」とは、この2軒目のコンビニのこと。なお、このコンビニは夜11時閉店で、平田さんが訪れた際にはやっていなかった。同時間帯、このコンビニの前のベンチで平田さんらしき女性が寝そべっていたという目撃情報が報じられている。一方で、6時前に開店作業で女性アルバイト従業員がやって来た際には平田さんはおらず、彼女の自転車だけが残されていたとのこと。
この2軒目のコンビニに関して、閉店中なのにも係わらず白い軽乗用車が入っていった、軽乗用車は女が運転していて助手席に平田さんらしき女子が乗っていた、という証言が伝えられている。対照的に、中年の男が運転する黒い軽乗用車を見たとする報道もある。また、近所の住人が6時10分頃に「バタバタ」と足音のような大きな音を聞いたとも。仔細はともかくとして、平田さんがこの2軒目のコンビニ前で事件に巻き込まれたのはまず間違いあるまい。
午前6時50分頃、岩井市長須の農道脇で倒れているのが発見される。死因は窒息死。首にはケータイのストラップが巻き付いており、これを使って絞められた可能性がある。また、靴は履いておらず、靴下は汚れていなかったことから、何処か室内(あるいは車内)で殺害された後に遺棄されたとみられる。
【物証】
平田さんが乗っていた自転車は、上記のとおり2軒目のコンビニ前で発見された。自転車は鍵がかけられており、前カゴにプリペイド式ケータイの課金カードが残されていた。
7月11日、平田さんが倒れていた地点から東に約800メートル離れた草むらで、草刈りをしていた住人が平田さんの履いていた赤いスニーカーを発見。そこからさらに500メートルほど離れた地点には灰色のデイパックも落ちていた。中にはノートなどが入っていたという。
スられたという財布、そして最も重要な証拠になると思われるケータイは見つかっていない。ただ、発信記録から、平田さんが同日夜に多くの人と連絡を取り合ったらしいことが伝えられている。上記110番通報直前には頻度が上がったとも。スリに遭ったことで気が動転し、知人に助けを求めていたのかもしれない。そして110番通報以後は特に発信は無かったとされている。
【家族関係や交友関係など】
平田さんは、2003年3月に岐阜県の中学校を卒業し、4月に家族で茨城県に越してきた。高校は1年遅れる形で2004年4月に入学。授業態度は比較的良かったが、事件直前には突然無断欠席、遅刻、早退を繰り返すようになった。担任が尋ねると、彼女は「家族のことで悩んでいる。家に居場所がない」と答えたとされる。
平田さんは8人家族。両親は自営業をしており、6月12日の夜から家を開けていた。「いない間気をつけろよ。悪いことするなよ」、「うん、わかった。ちゃんとやる」という会話が最後となってしまった。兄弟は、兄が1人と、0歳〜9歳までの幼い弟妹が4人おり、留守がちな親に代わって家事をするなどよく面倒を見ていたという。兄弟たちとは19日の21時頃まで一緒にテレビを見たのが最後。平田さんが無断欠席の理由として挙げた「家族の悩みごと」とは両親のことか、兄弟のことか、ハッキリとは分からない。
また、重要証拠となり得る平田さんが所持していたプリペイド式ケータイだが、これがスリランカ人の男X(事件当時36歳)の名義であると判明した。男Xは茨城県内で農業の手伝いをしていたが、事件の報道を見て雇い主の男と共に出頭してきた。Xによれば平田さんとは事件のおよそ3ヶ月前に知り合いになり、平田さんに強請られて6月11日にケータイを買い与えたのだという。
Xは2000年12月に観光ビザで入国した。そのビザは2001年3月で在留期限が切れていたため、入管難民法違反により現行犯逮捕されることとなった。しかし平田さん殺害への関与は否定し、警察の追及もそれ以上進まなかった。事件当夜の平田さんの通話先にXが含まれていなかったことが"シロ"の理由ともいわれる。以降の報道は見当たらないが、おそらく強制退去処分になったのだろう。
【推理】
事件直前に無断欠席や遅刻を繰り返すようになったこと、家族に関係する悩みごと、年長のスリランカ人との交際、コンビニでナイフとしても使えるミニ工具セットを買ったこと、財布をスられたという通報、閉店しているコンビニに立ち寄ったこと…。というように、本事件は被害者の言動に不可解な点が多く、なかなか実態が掴みづらい。
閉店したコンビニに自転車を停めていたのは、そこで何者かと待ち合わせをしていたからではないか、という見方は事件発生当初から有力だ。これは事件当夜に平田さんがケータイで頻繁に連絡を取り合っていたことからの推理だ。そうなれば交友関係のある人物、あるいはネット上で知り合いになった顔も名前も知らない人物かもしれないが、少なくとも何かしらの"接点のある"相手による犯行ということになろう。ナイフ(ミニ工具セット)を買ったのも、ネット上で知り合って相手の素性がよく分からないので護身のために買っておいたのだとしたら辻褄は合う。
しかし警察が交友関係を洗っても進展はみられない。謎のスリランカ人との接点は気になるが、彼に対する追求は進まなかった。ナイフを買った件については、平田さんの母親は「父の日のプレゼントとして買ったのではないか」とインタビューで話している。
筆者としては、全く接点のない人物による行きずりの犯行ではないかと考えているところだ。そして財布をスった相手=殺人犯とみている。以下全く勝手な推理になるが、平田さんは兄と些細な喧嘩をするなどして家に居づらかったのではないだろうか。そこで仕方なく家を出て友だちと遊ぶことにするが、2時~3時ともなれば会ってくれる人はいない。憩いの場所であるコンビニも追い出されてしまった。そして平田さんは最早あてもなく町を彷徨う。人気のない夜道を若い女性が一人でいれば、スリから見て格好のターゲットに映る。
スリに遭ってしまった平田さんは慌てて知人たちに連絡を取り、彼らから110番通報するようアドバイスを受けた。しかし110番通報しても直ぐに財布が返ってくる訳はない。すっかり意気消沈した平田さんは閉店したコンビニの前で呆然と過ごす。そこにスリが戻ってきた。通報されたとみて口封じに来たのか、あるいは一人無防備でいるところを見て性的暴行を考えたかもしれない。そうして平田さんは何処かへ連れ去られ殺害された…という筋だ。
2003年7月に発生した五霞町で女子高生の死体が遺棄された事件との関連を指摘する声も多い。こちらの事件では女子高生は埼玉県草加市で行方不明になっているが、遺体の状況や、ケータイを通じて犯人と繋がった可能性などが似通っているというのだ。筆者としてはいずれも行きずりの人物による計画性の無い犯行と考えているが、2つの事件に関連性は無いのではないかと思っている。
【リンク】
茨城県警による情報提供呼びかけページは以下。
https://www.pref.ibaraki.jp/kenkei/a04_jiken/atrocious_crime/heisei16/bando.html
【出典】
朝日新聞2004年6月20日「草むらで若い女性が変死、事件とみて捜査 茨城・岩井市」
朝日新聞2004年6月21日「女性は16歳の県立高校生 茨城・岩井の女性変死事件」
朝日新聞2004年6月21日「茨城の女子高生は「絞殺」発見1~2時間前に殺害か」
産経新聞2004年6月21日「女子高生殺される 茨城の市道脇」
毎日新聞2004年6月21日「茨城・岩井の女性変死:身元は県立高1年と断定ーー県警」
読売新聞2004年6月21日「10代女性の首絞め放置? 殺人の疑いで捜査」
読売新聞2004年6月21日「茨城の死亡女性は県立高1年生…学校問い合わせで判明」
産経新聞2004年6月22日「放置女性は高1、絞殺と断定 若い女性と行動 茨城」
毎日新聞2004年6月22日「茨城・岩井の高1殺害:コンビニで自転車発見」
読売新聞2004年6月22日「茨城の高1女子事件、絞殺と断定」
読売新聞2004年6月22日「岩井の高1殺害 事件前、コンビニでメール 相手の割り出し急ぐ」
朝日新聞2004年6月23日「茨城で絞殺の高1、1時間前に110番か 携帯で「財布すられた」」
朝日新聞2004年6月23日「待ち合わせ、接触?相手の割り出し急ぐ 岩井の高1殺害」
産経新聞2004年6月23日「絞殺女子高生 発見直前に2度110番 茨城県警動かず」
毎日新聞2004年6月23日「茨城・岩井の高1殺害:発見1時間前、携帯で110番ーー被害者「スリに遭った」」
読売新聞2004年6月23日「岩井の高1殺害 顔見知りと待ち合わせ? 「110番」はコンビニからか」
朝日新聞2004年6月24日「「携帯買い与えた」スリランカ人男性供述 岩井の高1殺害」
産経新聞2004年6月24日「絞殺女子高生 携帯買い与えた 交際外国人名乗り出る」
毎日新聞2004年6月24日「茨城・岩井の高1殺害:交際していたスリランカ人、携帯買い与える」
読売新聞2004年6月24日「岩井の高1殺害 携帯電話、スリランカ人が渡す 入管法違反で逮捕」
朝日新聞2004年6月25日「複数と十数回電話 殺害の高1、友人ら100人葬儀参列」
朝日新聞2004年6月27日「ミニナイフ付き携帯用工具所持 岩井、殺害された高1」
読売新聞2004年6月28日「岩井の高1女子殺害から1週間 交友関係解明に全力」
朝日新聞2004年6月29日「発見前「1時間」焦点 通話記録解明急ぐ 高1殺害事件」
朝日新聞2004年7月18日「携帯の記録が焦点 交友関係洗い出し 岩井の女子高生殺人」
朝日新聞2004年7月21日「現場近くでかばんを発見 岩井の高校生殺害」
読売新聞2004年7月21日「岩井の高1女子殺害から1か月 発見現場近くでデイパックと靴発見」
TVのチカラ2004年10月11日放送「茨城16際女子高生殺人事件」
平田さんは何者かによって首を絞められ殺害されたとみられるが、2021年8月現在も犯人は特定できていない。捜査継続中。
※岩井市、猿島町は2005年3月に合併され坂東市となりました。本記事タイトルも茨城県警の表記に倣って坂東市としています。
【事件当夜のタイムライン】
2004年6月20日午前0時〜1時半頃、平田さんは岩井市内のファミリーレストランで同年代の女友達と食事。所持していたレシートから立証済み。店員の証言によれば、2人とも落ち着いていて時間を潰しているようだった。
午前3時30分〜午前5時頃、ファミレス向かいのコンビニで一人過ごす。おにぎり、缶コーヒー、そしてナイフやペンチやライトとして使えるキーホルダー式のミニ工具を購入。その後は、店を何度か出入りしつつ、何者かとメールで頻繁にやり取りをしていたが、やがて床に座り出して雑誌を読み始めたため店員によって退店させられる。防犯カメラ映像から立証済み。
なお、ファミレスを出てからコンビニに入るまでの空白の時間帯についてはハッキリしていない。近所の公園で友人と遊んでいた、待ち合わせをしていたが相手が来なかった、などといった情報が伝えられている。
午前5時45分頃、若い女性から「財布をすられたみたい。」と110番通報がある。署員が居場所などを尋ねると、女性は「岩井市に住んでいて、今はコンビニの前にいる」などと答えた。数分後に2度目の通報。今度は別の署員が応対したが、スリの相手について「見覚えのある人」などと話し、特段緊迫した様子はなかったという。48分頃には3度目の通報があり、署員は堺警察署に来るよう伝えて電話を切った。女性は自ら名乗っていないが、記録された電話番号からして平田さん本人と見做されている
110番通報した頃、1軒目のコンビニから600メートルほど離れた2軒目のコンビニに立ち寄る。通報をした際に話した「コンビニの前」とは、この2軒目のコンビニのこと。なお、このコンビニは夜11時閉店で、平田さんが訪れた際にはやっていなかった。同時間帯、このコンビニの前のベンチで平田さんらしき女性が寝そべっていたという目撃情報が報じられている。一方で、6時前に開店作業で女性アルバイト従業員がやって来た際には平田さんはおらず、彼女の自転車だけが残されていたとのこと。
この2軒目のコンビニに関して、閉店中なのにも係わらず白い軽乗用車が入っていった、軽乗用車は女が運転していて助手席に平田さんらしき女子が乗っていた、という証言が伝えられている。対照的に、中年の男が運転する黒い軽乗用車を見たとする報道もある。また、近所の住人が6時10分頃に「バタバタ」と足音のような大きな音を聞いたとも。仔細はともかくとして、平田さんがこの2軒目のコンビニ前で事件に巻き込まれたのはまず間違いあるまい。
午前6時50分頃、岩井市長須の農道脇で倒れているのが発見される。死因は窒息死。首にはケータイのストラップが巻き付いており、これを使って絞められた可能性がある。また、靴は履いておらず、靴下は汚れていなかったことから、何処か室内(あるいは車内)で殺害された後に遺棄されたとみられる。
【物証】
平田さんが乗っていた自転車は、上記のとおり2軒目のコンビニ前で発見された。自転車は鍵がかけられており、前カゴにプリペイド式ケータイの課金カードが残されていた。
7月11日、平田さんが倒れていた地点から東に約800メートル離れた草むらで、草刈りをしていた住人が平田さんの履いていた赤いスニーカーを発見。そこからさらに500メートルほど離れた地点には灰色のデイパックも落ちていた。中にはノートなどが入っていたという。
スられたという財布、そして最も重要な証拠になると思われるケータイは見つかっていない。ただ、発信記録から、平田さんが同日夜に多くの人と連絡を取り合ったらしいことが伝えられている。上記110番通報直前には頻度が上がったとも。スリに遭ったことで気が動転し、知人に助けを求めていたのかもしれない。そして110番通報以後は特に発信は無かったとされている。
【家族関係や交友関係など】
平田さんは、2003年3月に岐阜県の中学校を卒業し、4月に家族で茨城県に越してきた。高校は1年遅れる形で2004年4月に入学。授業態度は比較的良かったが、事件直前には突然無断欠席、遅刻、早退を繰り返すようになった。担任が尋ねると、彼女は「家族のことで悩んでいる。家に居場所がない」と答えたとされる。
平田さんは8人家族。両親は自営業をしており、6月12日の夜から家を開けていた。「いない間気をつけろよ。悪いことするなよ」、「うん、わかった。ちゃんとやる」という会話が最後となってしまった。兄弟は、兄が1人と、0歳〜9歳までの幼い弟妹が4人おり、留守がちな親に代わって家事をするなどよく面倒を見ていたという。兄弟たちとは19日の21時頃まで一緒にテレビを見たのが最後。平田さんが無断欠席の理由として挙げた「家族の悩みごと」とは両親のことか、兄弟のことか、ハッキリとは分からない。
また、重要証拠となり得る平田さんが所持していたプリペイド式ケータイだが、これがスリランカ人の男X(事件当時36歳)の名義であると判明した。男Xは茨城県内で農業の手伝いをしていたが、事件の報道を見て雇い主の男と共に出頭してきた。Xによれば平田さんとは事件のおよそ3ヶ月前に知り合いになり、平田さんに強請られて6月11日にケータイを買い与えたのだという。
Xは2000年12月に観光ビザで入国した。そのビザは2001年3月で在留期限が切れていたため、入管難民法違反により現行犯逮捕されることとなった。しかし平田さん殺害への関与は否定し、警察の追及もそれ以上進まなかった。事件当夜の平田さんの通話先にXが含まれていなかったことが"シロ"の理由ともいわれる。以降の報道は見当たらないが、おそらく強制退去処分になったのだろう。
【推理】
事件直前に無断欠席や遅刻を繰り返すようになったこと、家族に関係する悩みごと、年長のスリランカ人との交際、コンビニでナイフとしても使えるミニ工具セットを買ったこと、財布をスられたという通報、閉店しているコンビニに立ち寄ったこと…。というように、本事件は被害者の言動に不可解な点が多く、なかなか実態が掴みづらい。
閉店したコンビニに自転車を停めていたのは、そこで何者かと待ち合わせをしていたからではないか、という見方は事件発生当初から有力だ。これは事件当夜に平田さんがケータイで頻繁に連絡を取り合っていたことからの推理だ。そうなれば交友関係のある人物、あるいはネット上で知り合いになった顔も名前も知らない人物かもしれないが、少なくとも何かしらの"接点のある"相手による犯行ということになろう。ナイフ(ミニ工具セット)を買ったのも、ネット上で知り合って相手の素性がよく分からないので護身のために買っておいたのだとしたら辻褄は合う。
しかし警察が交友関係を洗っても進展はみられない。謎のスリランカ人との接点は気になるが、彼に対する追求は進まなかった。ナイフを買った件については、平田さんの母親は「父の日のプレゼントとして買ったのではないか」とインタビューで話している。
筆者としては、全く接点のない人物による行きずりの犯行ではないかと考えているところだ。そして財布をスった相手=殺人犯とみている。以下全く勝手な推理になるが、平田さんは兄と些細な喧嘩をするなどして家に居づらかったのではないだろうか。そこで仕方なく家を出て友だちと遊ぶことにするが、2時~3時ともなれば会ってくれる人はいない。憩いの場所であるコンビニも追い出されてしまった。そして平田さんは最早あてもなく町を彷徨う。人気のない夜道を若い女性が一人でいれば、スリから見て格好のターゲットに映る。
スリに遭ってしまった平田さんは慌てて知人たちに連絡を取り、彼らから110番通報するようアドバイスを受けた。しかし110番通報しても直ぐに財布が返ってくる訳はない。すっかり意気消沈した平田さんは閉店したコンビニの前で呆然と過ごす。そこにスリが戻ってきた。通報されたとみて口封じに来たのか、あるいは一人無防備でいるところを見て性的暴行を考えたかもしれない。そうして平田さんは何処かへ連れ去られ殺害された…という筋だ。
2003年7月に発生した五霞町で女子高生の死体が遺棄された事件との関連を指摘する声も多い。こちらの事件では女子高生は埼玉県草加市で行方不明になっているが、遺体の状況や、ケータイを通じて犯人と繋がった可能性などが似通っているというのだ。筆者としてはいずれも行きずりの人物による計画性の無い犯行と考えているが、2つの事件に関連性は無いのではないかと思っている。
【リンク】
茨城県警による情報提供呼びかけページは以下。
https://www.pref.ibaraki.jp/kenkei/a04_jiken/atrocious_crime/heisei16/bando.html
【出典】
朝日新聞2004年6月20日「草むらで若い女性が変死、事件とみて捜査 茨城・岩井市」
朝日新聞2004年6月21日「女性は16歳の県立高校生 茨城・岩井の女性変死事件」
朝日新聞2004年6月21日「茨城の女子高生は「絞殺」発見1~2時間前に殺害か」
産経新聞2004年6月21日「女子高生殺される 茨城の市道脇」
毎日新聞2004年6月21日「茨城・岩井の女性変死:身元は県立高1年と断定ーー県警」
読売新聞2004年6月21日「10代女性の首絞め放置? 殺人の疑いで捜査」
読売新聞2004年6月21日「茨城の死亡女性は県立高1年生…学校問い合わせで判明」
産経新聞2004年6月22日「放置女性は高1、絞殺と断定 若い女性と行動 茨城」
毎日新聞2004年6月22日「茨城・岩井の高1殺害:コンビニで自転車発見」
読売新聞2004年6月22日「茨城の高1女子事件、絞殺と断定」
読売新聞2004年6月22日「岩井の高1殺害 事件前、コンビニでメール 相手の割り出し急ぐ」
朝日新聞2004年6月23日「茨城で絞殺の高1、1時間前に110番か 携帯で「財布すられた」」
朝日新聞2004年6月23日「待ち合わせ、接触?相手の割り出し急ぐ 岩井の高1殺害」
産経新聞2004年6月23日「絞殺女子高生 発見直前に2度110番 茨城県警動かず」
毎日新聞2004年6月23日「茨城・岩井の高1殺害:発見1時間前、携帯で110番ーー被害者「スリに遭った」」
読売新聞2004年6月23日「岩井の高1殺害 顔見知りと待ち合わせ? 「110番」はコンビニからか」
朝日新聞2004年6月24日「「携帯買い与えた」スリランカ人男性供述 岩井の高1殺害」
産経新聞2004年6月24日「絞殺女子高生 携帯買い与えた 交際外国人名乗り出る」
毎日新聞2004年6月24日「茨城・岩井の高1殺害:交際していたスリランカ人、携帯買い与える」
読売新聞2004年6月24日「岩井の高1殺害 携帯電話、スリランカ人が渡す 入管法違反で逮捕」
朝日新聞2004年6月25日「複数と十数回電話 殺害の高1、友人ら100人葬儀参列」
朝日新聞2004年6月27日「ミニナイフ付き携帯用工具所持 岩井、殺害された高1」
読売新聞2004年6月28日「岩井の高1女子殺害から1週間 交友関係解明に全力」
朝日新聞2004年6月29日「発見前「1時間」焦点 通話記録解明急ぐ 高1殺害事件」
朝日新聞2004年7月18日「携帯の記録が焦点 交友関係洗い出し 岩井の女子高生殺人」
朝日新聞2004年7月21日「現場近くでかばんを発見 岩井の高校生殺害」
読売新聞2004年7月21日「岩井の高1女子殺害から1か月 発見現場近くでデイパックと靴発見」
TVのチカラ2004年10月11日放送「茨城16際女子高生殺人事件」